PDFだけでなくPowerPointやTIFFにも対応
グーグルがJavaScript版“PDFビューア”を前面にプッシュ
2009/10/08
Google DocsやGmail向けとしてグーグルが実装した「Google Docs Viewer」は、PDFやPowerPoint、TIFFに対応するJavaScript版の文書ビューアだ。もともとGoogle DocsやGmailといったサービス上にある文書ファイルや添付ファイルを対象とするビューアだったが、外部のオンライン文書に対してもURLをダイレクトに指定することで利用できる(例えば総務省の資料をDocs Viewerで開く例をクリックしてみてほしい)。Docs Viewerではサーバ側が実体ファイルを読み込み、それをレンダリング。その結果を1ページ1画像としてクライアントに順次読み込ませるという動作をする。
Docs Viwerはグーグルの外部にあるファイルでも利用でき、HTMLページに埋め込む機能もある。このことに、一部のユーザーは気付いていたが、これまで同社が外部ファイルに対して広範囲にこの技術を適用することはなかった。
グーグルは、このGoogle Docs Viewerの機能を検索結果へ統合しつつある。10月7日付の公式ブログによれば、検索結果にPDF文書が含まれる場合、これまで「View as HTML」としてHTML形式に変換する機能を提供してきたが、今後はこれを「Quick View」のリンクで代替。直接Docs ViewerでPDF文書を開いて閲覧できるようにしていくという。HTML変換ではレイアウトの再現性が低く、とりあえず中身を確認したいという用途にしか使えなかったが、Docs Viwerなら再現性は非常に高い。表や図、グラフといった要素も、いくつか視認した限りでは、十分に実用レベルだ。
グーグルによれば、7月から徐々に検索インデックスのPDFに対して、この機能を適用してきたが、現在同社がインデックスしているPDF文書のうち約50%について、すでにDocs Viewerへのリンクが有効になっているという。URLを直接指定すれば、どんなPDFファイルでも動的にDocs Viewerで閲覧可能なのだから、約50%で「Quick View」のリンクを有効にしたというのは、事前レンダリングが終わってキャッシュ済みのものが約半分ということだろうか。Docs Viewer自体は日本語にも対応しているが、日本語関連のPDF文書を検索してみたところ、総務省の資料のようなものでも未対応で、日本語対応は後手となっているようだ。
軽快な動作、画像でもテキストのコピペは可能
Docs Viewerはクライアント側はJavaScriptだけで書かれているのが最大の特徴だ。重たいレンダリング処理をサーバ側で行うことで、動作は非常に軽快になっている。Webブラウザと別に起動が必要になるプラグインやビューアを使わない分、表示開始までの時間も短い。また、各ページの画像は、プログレッシブなJPEGとなっているほか、スクロールするにつれて順次画像を読み込む方式により、動作が軽快に感じられる。
ページの拡大・縮小やサムネイル表示も可能だ。各ズームレベルの画像はサーバで生成しているようで、拡大時にも図やフォントにジャギーが目立つことはない。
驚くのは、各ページは画像ファイルでありながら、マウスによる範囲選択でテキストのコピー&ペーストが可能なことだ。適当な範囲を選択すると、テキストの該当部分がふつうとはちょっと異なる感じで選択される。この選択状態で右クリックして表示されるコンテキストメニューを見てみれば、それが画像でしかないことが分かるのだが、ここで「Ctrl+C」を押すとクリップボードにテキストが転送され、エディタやワープロにテキストをペーストできる。テキストの選択は表中の一部カラムなどでも可能だ。
PDF文書に直接リンクを張る場合、明示的にリンク先がPDFであることを示す習慣があるのは、一般にPDFビューアの起動が重たいからだ。今後、オンラインにPDF文書やPowerPoint文書を置くことがあるのなら、リンク時にDocs Viewerの指定を入れてはどうだろうか? あまり見てほしくないIR情報のようなものであれば、もちろん重たいAdobe Readerを利用者に起動させることで、マイルドなリード・プロテクトになるわけだが、より広く見てほしいと思うなら、少しでも読者を待たせない工夫は歓迎されるはずだ。
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