多対1のバックアップ環境構築も可能に

ヴイエムウェアの災害復旧製品が進化

2009/10/09

 ヴイエムウェアが10月6日に国内出荷を発表した「VMware vCenter Site Recovery Manager 4」(SRM 4)は、同社の仮想化技術をベースとしたディザスタリカバリ(DR、災害復旧対策)自動化製品の新バージョンだ。

 SRMは、従来高価な専用システムを対向で使う必要のあった災害復旧対策を、比較的低コストで実現できる製品として使われている。ストレージ製品が備える遠隔複製(遠隔レプリケーション)機能を利用して、本番拠点で稼働している仮想マシンを常時バックアップ拠点に同期しておき、本番拠点の仮想マシンに障害が発生した場合は、自動的にバックアップ拠点でこの仮想マシンを再起動することができる。物理サーバでなく仮想マシンレベルでデータを複製するため、本番環境とバックアップ環境のハードウェアは同一である必要はない。

SRMはこの復旧プロセスを自動化できる。また、保護対象である仮想マシンを稼働させたまま、同一のデータを用いて災害復旧の予行演習を行うことも可能だ。

vmware01.jpg SRMでは復旧の手順をスクリプトとして設定し、実行できる

 SRM 4における主な新機能は、VMware vSphere 4 との互換性、複数対1のフェイルオーバ機能、NFSベースのレプリケーションのサポートだ。

 「VMware vSphere 4 との互換性」では、vSphere 4の新機能の1つであるVMware FTにも対応している。VMware FTは、仮想マシンレベルでノンストップ環境を実現する機能。本稼働仮想マシンとCPU処理およびメモリ内容を完全に同期させた仮想マシンを、別物理サーバ上で動かしておき、本稼働仮想マシンのハードウェアあるいはハイパーバイザに障害が発生した場合には、処理を止めることなく肩代わりができるという仕組みだ。SRM 4では、VMware FTを適用している仮想マシンのペアを、本番拠点の障害時にバックアップ拠点で再起動できるようになった。

 複数対1のフェイルオーバは、DRサービスを提供したい事業者にとっても便利な機能。これまでのSRMでは、複数の本番拠点のバックアップを1カ所で行う場合も、バックアップ拠点では本番拠点の数と同数のSRM環境を別個に構築する必要があった。SRM 4ではこれが改善され、バックアップ拠点では単一の環境で、複数の本番拠点との接続およびDR管理が行えるようになった。これにより、1つの管理コンソールでDRを統合管理できるとともに、ライセンス料の観点からも有利になった。SRM 4では、最大15対1の統合が可能だ。

 また、SRMでサポートするストレージは、これまでファイバチャネルあるいはiSCSIに限られていたが、SRM 4ではNFSにも対応した。

 保護対象の仮想マシン数は、これまでの最大500から、1000に増大したという。SRM 4の市場予想価格は1CPU当たり21万8000円で、従来バージョンと同一。

(@IT 三木泉)

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