エンジニアにおすすめ、米国版「勉強会」

Oracle OpenWorldの「裏メニュー」アンカンファレンスとは

2009/10/14

会場横にあったアンカンファレンスの説明 会場横にあったアンカンファレンスの説明

 派手な演出のキーノート、ビッグネームがそろうセミナー、そして広大な展示会場……大規模なイベントは多くの人がそれに注目をしている。しかし、このOracle OpenWorldではひときわ地味なセッションが用意されている。それが「アンカンファレンス」だ。

 Oracle OpenWorldのアンカンファレンスは今回で3度目の開催で、セッションやワークショップを開催したいという人がテーマを決め、メインのカンファレンスでは語られないようなテーマを、自分たちで作るというものだ。その内容は多岐にわたっており、実用的なものからタイトルだけでは何か分からないものまである。さらに、当日まで何をやるか分からない(当日、アンカンファレンスを実施したいという人向けの)部屋も用意されており、会場入り口には小さな付せん紙で作られたスケジュール表が用意されている。

アンカンファレンスのスケジュール表 アンカンファレンスのスケジュール表(クリックで拡大)

 2009年のアンカンファレンスでは3つの部屋が割り当てられており、1時間おきにテーマを変えて発表が行われていた。実際のセッションでは一般的なセミナーとは異なり、講師と聴講者の距離は大変近く、発表途中でも聴講者からの質問に答えたり、その場で発表の方向が変わったりなど、とてもカジュアルなものだ。

「Visualization Session」の1コマ HPのグウェン・シャピラ氏による「Visualization Session」の1コマ。DBAが持つ情報をビジュアル化し、正しい情報を把握すべしというテーマ。発表資料は同氏のブログからダウンロードできる。

 内容は大変高度で、エンジニアにとってすぐに役立つ情報が満載のセッションも多い。Oracle ACEのダニエル・モーガン氏によるセッション「What's New in Eleven ... Dot Two (that Oracle won't be talking about)」では、日本でもリリースされたOracle Database 11g R2において、エンジニアが知っておくべき「オラクルが語らない」変化を駆け足で紹介した。11gR2で変更されたディレクトリ構造やトリガー、SQL文法の違い、Exadataでのみ利用できるオプションなどのトピックを解説し、セッションが終了したあとも熱心にディスカッションする姿が印象的であった。

 モーガン氏は自身のサイト「Morgan's Library」を運営しており、今回の発表内容の詳細は同氏のサイトにて確認することができるので、オラクルデータベースを利用するエンジニアはぜひ確認してほしい。

モーガン氏のセッションはほぼ満席 モーガン氏のセッションはほぼ満席

 アンカンファレンスで多くのセッションを担当するのは、オラクルの技術者コミュニティに貢献する人に対して送られる「Oracle ACE」に認定されたエンジニアだ。これはOracle Technology Network(OTN)のプログラムで、オラクルだけでなくさまざまな企業、大学などのメンバーが選出されている。アンカンファレンスが行われているOTNラウンジも大変な盛り上がりを見せており、先を見据えた情報が発信される基調講演に比べ、よりエンジニア向けのすぐ役立つ情報が得られるといえる。

 このアンカンファレンスは日本で開催されたOracle OpenWorld Tokyo 2009でも、有志の手によりOTNラウンジの一角で開催されていた。気楽に参加できるスタイルは「勉強会」といったところで、エンジニアにとっては注目すべきものだろう。

OTNラウンジの様子 OTNラウンジの様子。多くのOTNメンバーで混雑している。
アンカンファレンスのセッション 「次回はスピーカーになろう!」というセッションも。

(@IT 宮田 健)

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