デスクトップ仮想化に特化
ゲストOSいらずの仮想デスクトップ製品「vDesk」が日本上陸
2009/10/14
マクニカネットワークスは10月8日、デスクトップ仮想化製品「vDesk」を開発、提供する米リングキューブ・テクノロジーズと販売代理店契約を結んだ。
デスクトップの仮想化には、クライアントPCの管理コストの削減や迅速なプロビジョニングといったメリットがある。また、サーバだけでなくデスクトップ環境でもビジネス継続性やセキュリティの向上が可能になることから、複数の製品が提供されるようになってきた。手法としては、サーバ側でアプリケーションを動作させ、その画面情報を転送する「サーバベースコンピューティング方式」や、ローカルPCにハイパーバイザーを導入し、その上でゲストOSを動作させる「ローカル仮想マシン方式」などがある。
しかしvDeskはこれらとは異なるやり方で、Windowsに特化した仮想デスクトップ環境を提供する。基本的には、ホストOSの上にハイパーバイザー(=vDesk)を導入するローカル仮想マシン方式の1種といえるが、ゲストOSの部分にホストOSを利用するため、ハイパーバイザー上に追加でゲストOSを導入する必要がない。また、レイヤが1層少ない軽量なソリューションであるため、高いパフォーマンスを実現できるとともに、CPUやメモリ、インフラを増強することなく利用できることが特徴だという。
vDeskは、管理サーバと、クライアント側で動作する仮想ワークスペースから構成される。まず、管理サーバでマスターとなる仮想ワークスペースを作成し、それをクライアントに配布する。ユーザーは、マスターワークスペース上にそれぞれ必要なアプリケーションやデータなどを導入してセルフプロビジョニングを行い、利用する仕組みだ。仮想ワークスペースとユーザーとのひも付けは、Active Directoryで行う。
米リングキューブのCEO、ピート・フォーリー氏は、「他社が提供するデスクトップ仮想化製品は、サーバ仮想化製品をデスクトップ向けに転用したものが多く、導入に当たってCPUやメモリを増強する必要があるため、コストがかさむ。また、ハイパーバイザー上に導入する2つめのOSも必要で、これも高くつく理由の1つだ」と述べた。
「サーバやデータセンター用に開発したものをそのままデスクトップに持ってきても、環境への投資が必要となりスケールしない。また、ユーザーエクスペリエンスも変わってしまう」(同氏)。
一方、サーバベースコンピューティング方式では、これまで利用できていた周辺機器が利用できなかったり、ビデオストリーミングやハイエンドグラフィックの再生が難しいことがネックとなるが、「vDeskでは、エンドユーザーの体験をできる限りそのままにする。従来のPCを利用している場合とvDeskとで、環境に何ら違いは生じないため、ユーザーの生産性を向上することができる」(同氏)という。
vDeskで作成した仮想デスクトップ環境は、PCのHDDやネットワークストレージだけでなく、USBメモリなどに保存して持ち運ぶことも可能だ。「ユーザーはいつでもどこでも、会社にある自分の環境を再現することができる」(フォーリー氏)。オフライン時のデータは、「MobileSync」と呼ぶ同期機能によって常に更新される仕組みだ。また、サーバベースコンピューティング(VDI)とvDeskを組み合わせて利用することも可能という。
あるコールセンター企業では、仮想デスクトップ環境を保存したUSBメモリを配布し、従業員が自宅のPCを使って会社と同じ環境を利用できるようにした。「各種個人設定やネットワーク、セキュリティなどの設定も含め、エンタープライズネットワークの環境を享受できる」(同氏)。また、新型インフルエンザの大流行時に備え、最低限の業務を継続できる環境を用意し、事業継続のために導入する企業もあるという。
なお、同社では「サーバ仮想化に進出する計画はいっさいない。サーバ仮想化とデスクトップ仮想化とは異なるテクノロジで、われわれはデスクトップ仮想化に完全にフォーカスしている」(フォーリー氏)という。
vDeskはWindows XP上で動作し、価格は1ユーザーライセンス当たり3万9800円から。マクニカネットワークスでは、すでに国内で販売しているSSL VPNや暗号化製品と組み合わせて販売していくという。
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