シンクライアントシステムを全市立小・中学校に
「脱MS」、箕面市が中古PC約500台をLinuxで再生利用
2009/10/15
大阪府箕面市は10月14日、ITコストの削減を目的に、中古PC約500台にLinuxを導入し、シンクライアントシステムを構築する計画を明らかにした。併せて、このプロジェクトを技術面から支援するサポーター企業を募集する。
対象となるのは箕面市立小・中学校の職員室LANで、全20校、500台規模での導入となる。これまではWindows OSとMicrosoft Officeの組み合わせを利用してきたが、「新バージョンの発売ごとに、大規模な出費と作業が必要」だった。新OSが登場しても、既存PCの多くが性能不足で導入が困難なため、新たにPCを大量購入し、セットアップする必要に迫られていた。これは同時に、まだ利用可能なPCを廃棄することにもなる。新OSが登場するたびに必要だったこうした出費をなくすことを目的に、Linuxの導入に踏み切る。
新システムでは、教育機関向けのUbuntuファミリで、シンクライアントアーキテクチャを取り込んでいるディストリビューション「edubuntu」を導入し、シンクライアントシステムを構築。Linuxマシンの管理をActive Directoryで行える「Likewise Open」も同時に導入し、運用管理を支援する。
併せて、オフィススイートについてもオープンソースの「OpenOffice.org」の導入を進めるとともに、文書フォーマットのODF(OpenDocument Format)化に取り組む。これまでは、Microsoft OfficeがPC単価の半分近くを占めていたという。
同市では、中古PCを再利用することで、イニシャルコストを従来の10分の1以下に抑えることができると見込む。また、端末にはHDDなどの可動部品がないためメンテナンスの手間を省くことができ、ランニングコストもほぼゼロになるとしている。端末側にデータを保存しないシンクライアント方式を採用することで、情報漏えいの防止というメリットも得られるという。
箕面市ではこの取り組みを通じて、特定のIT企業の製品に縛られて高コスト構造になっている情報システムを変革したいと意気込む。また、情報システムのライフサイクルが、マイクロソフト製品の動向に左右される状態から脱却したいとしている。
なおLinux導入にあたって、同市では実機を用いたテスト環境を構築済み。ただ、プリンタ、無線LANといった周辺機器のドライバの未対応問題といった部分に不安が残ることから、ノウハウ提供やアドバイス、対策検討を行うサポーター企業を募集する。募集要項は同市Webサイトで公開されている。
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