Chrome OSは年内にベータ版

グーグルはさまざまな企業の買収を検討中――シュミットCEO

2009/10/19

 「グーグルでは、検索、広告、エンタープライズ、Webブラウジング、OSなどの分野の大小さまざまな企業の買収を検討中だ」――検索大手のグーグルが10月15日に行った第3四半期決算報告の電話会見で、同社のエリック・シュミットCEOはこう語った。シュミット氏が企業買収の意欲を表明するのは異例のことであり、今後、同氏とグーグルの開発チームがどんなタイプの企業を狙っているのかをめぐり、さまざまな憶測が飛び交いそうだ。

 具体的には、「グーグルは特定分野にフォーカスした検索企業や、検索効果の分析を専門とする企業に注目している」と同氏は語った。すでにグーグルは、Webサイトの所有企業が自社サイトのトラフィックやマーケティング効果を把握するためのWeb分析機能を提供している。

 特定分野向けの検索エンジンとしては、個別テーマについて掘り下げたWeb検索が行える「Kosmix」や、Twitterのつぶやきなどのソーシャル指向の情報をインデックス化する各種のリアルタイム型検索エンジンがある。これらの技術を提供しているベンダは、OneRiot、CrowdEye、Collectaなどだ。

 シュミット氏によると、ディスプレイ(グラフィック)広告の分類や処理で優れた手法を開発した企業の買収も検討しているという。グーグルはこの分野ではヤフーやAOLに大きく後れを取っている。とはいえ、同社はグラフィック広告によるYouTubeの収益化で大幅に前進した。グーグルによると、米AdAgeのランキングで上位50社の広告主の90%は、YouTubeを利用した広告キャンペーンで成果を上げた企業であり、その中にはヒューレット・パッカード(HP)、Palm、McDonaldsなども含まれるという。

 「当社は以前より、1カ月に1件くらいのペースで買収を行ってきた。これらは主として、完成された製品を提供している技術指向の小規模企業だ」とシュミット氏は電話会見で語った。「これらの企業は相対的に買収金額が低く、しかも実際的な技術をもたらしてくれる」

 グーグルが買収のターゲットとするのは、同社が求めるプログラミング能力に秀でた人材をもたらす企業であるケースも多い。例えば、グーグルが2005年に買収したAndroidの創業者、アンディ・ルービン氏は、グーグルのモバイルOS「Android」の開発担当ディレクターになった。

 シュミット氏はさらに、「グーグルがより規模の大きい企業の買収も検討していることは確かだ」と述べた。ただしそれは、収益拡大に貢献するか、グーグルにはこれまで手が届かなかった巨大なユーザーベースをもたらす場合に限られるという。

 「この種の買収はめったにないだろう」とシュミット氏は語り、グーグルにとっての最大規模の買収(YouTubeとDoubleClick)では、買収と統合に巨額の経費が掛かったと指摘した。

 またグーグルでは、Google Apps(ソフトウェアスイート)やGoogle Search Applianceなどのエンタープライズ事業を強化するために、ベンチャー企業の買収も狙っている。Google Appsには、Gmail、Wikiアプリケーション、ワープロ、表計算、プレゼンテーションプログラムが含まれる。MindJetなどのベンチャー企業が開発している可視化技術を利用すれば、Google Appsがさらに魅力的な製品になるかもしれない。

 さらにグーグルは、自社のWebブラウザであるChromeおよび開発中のChrome OSの機能の改善に貢献するベンチャー企業も物色している。Chromeの市場シェアは約3.2%。2010年にネットブックでデビューする予定のChrome OSは、ChromeおよびグーグルのWebサービスの利用に特化したOSになるとみられている。

 シュミット氏によると、Chrome OSは社内でのテストを経て、年内にベータリリースされる見込みだとしている。社内テストでは、同OSがMicrosoft Windowsや各種Linuxディストリビューションなどの現行OSよりも「速度と効率」の面で優れていることを確認するという。

 なお、グーグルの第3四半期の業績は好調で、16億4000万ドルの利益(1株当たり5.13ドル)を確保した。これは、昨年同期の12億9000万ドルの利益(1株当たり4.06ドル)から27%の増加となる。

原文へのリンク

(eWEEK Clint Boulton)

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