オープンな開発モデルの力を強調
「コマーシャル対オープンソース」という図式はない、リーナス氏
2009/10/21
「オープンな開発モデルは、現実的に問題を解決していくための手段。ほかの人々と協力して作業を進めていく際に、オープン化は最もよい方法だと自分は思う」――10月21日に開催されたJapan Linux Symposiumに、Linuxの生みの親であるリーナス・トーバルス氏が登場した。同氏は、ジム・ゼムリン氏との対談形式で行われた基調講演の中でこのように述べ、オープンな取り組みが、Linuxのいまの姿をもたらしたと述べた。
リーナス氏は、オープンソースの開発モデルによって、さまざまな開発者や主体が協力し合って開発を進めていることが、いまのLinuxの成功をもたらしたと述べた。
「議論を重ねる中から新しいアイデアを受け入れ、多種多様な人々が参加することによって、Linuxはこのように広範なプラットフォームをサポートするに至った。単にソースコードをオープンにするということだけでなく、コミュニティがオープンであるということが重要」(同氏)。
ただ、それは営利企業との対立を意味するものではないという。自由という概念は重んずべきものであるが、同時に、企業にとって近付きやすい形態であることも必要だと同氏。「企業が参入することで、見栄えの改善など、Linux全体をより有用なものにしていくためのさまざまな要素がもたらされた。『コマーシャル対オープンソース』という図式があるわけではない。そんなことは考えたくもない」(同氏)。
今後、Linuxがどういう方向に向かい、どんなイノベーションを目指すのかというゼムリン氏への問い対しては、「イノベーションというのはそもそも計画してできるものではないと思う。これから5年後、10年後にどんなふうになるのかは分からないが、Linuxが普及することで、イノベーションが生まれる上で大きな役割を果たすことができるだろう」と語った同氏。今後は特に、組み込み機器の分野でLinuxの普及が見込まれるが、「これまで組み込み系の開発者との間にあまりコミュニケーションがなかった。別々にやっていくのではなく、協力体制を取っていけるよう期待している」という。
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