XenAppを同梱が基本、同時接続数ライセンスは基本的に廃止
シトリックス、新デスクトップ仮想化製品で“究極の柔軟性”追求
2009/10/27
シトリックスシステムズジャパンは10月26日、同社のデスクトップ仮想化ソリューションの新バージョン「Citrix XenDesktop 4」の国内投入を発表した。一般提供開始は11月16日から。
XenDesktop 4の最大の特徴は、あらゆる利用シナリオをカバーしたデスクトップの集中管理というコンセプトを明確に打ち出したことだ。代表取締役社長のマイケル・キング氏は、「VDI(狭義のデスクトップ仮想化)は仮想化のうちのほんの1つにすぎない。完全な仮想化を活用した新たな時代には、あなた(ユーザー)がどこにいっても仮想デスクトップはついていくことができる。今回のXenDesktopはあらゆるタイプのユーザーをカバーできる最初で唯一の仮想化ソリューションだ」と力説した。
シトリックスは、この柔軟な対応能力を「FlexCastデリバリテクノロジ」という新たな用語で説明する。FlexCastとは、さまざまなクライアント環境提供技術を一元集中管理のもとで提供するための技術の総称だ。前バージョンですでに実現しているが、XenDesktopはVDIに加え、同社がMetaFrameの時代から提供してきたターミナルサービス(現在はXenAppに含まれている)、ブレードPC 、XenAppに含まれているアプリケーション仮想化機能(ローカルPCにアプリケーションを一時的にインストールする)およびアプリケーションストリーミング(ローカルPCのメモリにアプリケーションを送りこんで動かす)、ブレードPC、さらに同社がインテルと開発中で年末にも発表予定のXenClient(ローカルPCのハイパーバイザ上で仮想マシンとしてデスクトップを動かす)にも対応する。これにより、ユーザーの業務や場所、利用したい端末に合わせたデスクトップ環境をオンデマンドで提供できる。
XenDesktop 4は、シトリックスのデスクトップ接続プロトコルICAの拡張と周辺技術の総称である「HDX」も強化している。
例としては、Flashコンテンツをユーザー端末側で処理することで高速化する「HDX MediaStream for Flash」、WAN回線経由でも、VDIでCAD/CAMアプリケーションなど3Dデータの処理を容易にする「HDX 3D」などがある。
シトリックスはさらに、XenDesktop 4がXenServer、Hyper-V、VMware Infrastructure 3、VMware vSphere 4をすべてサポートする唯一のデスクトップ仮想化ソリューションであるとしており、XenServerとHyper-Vについては製品に同梱している。
XenDesktop ではデスクトップ仮想化製品としての構成が見直された。これを端的に表しているのがエディション構成だ。前バージョンのXenDesktop 3では、無償のExpressのほか、有償エディションとしてStandard、Advanced、Enterpriseの3エディションが提供されていた。今回のXenDesktop 4では、XenAppを同梱しないStandardとAdvancedが消え、Enterpriseよりもさらに上位のPlatinumが加わって、基本的には2エディションとなった。そのうえでVDIに特化したVDI Editionも新設されたものの、XenDesktop 4ではXenAppをデフォルトで同梱とすることで、統合クライアント環境構築ソリューションとしてのメッセージを前面に押し出した。
同時に、シトリックスはライセンス提供方式を、これまでのCCU(同時接続数)ベースから、ユーザー数あるいはデバイス数に変更した(VDI Editionは例外的にCCUも選択可能)。ユーザー企業は利用シーンによって、ユーザー数課金かデバイス数課金化のどちらか一方を選択できる。
シトリックスジャパンはまた、DaaS(Desktop as a Service)やSaaS(Software as a Service)を提供する事業者のために、「シトリックス サービス プロバイダー(CSP)プログラム」を12月1日に国内提供開始する。アイアイジェイテクノロジー(IIJ-Tech)、ネットワンシステムズを通して販売する。CSPプログラムでは、事業者はユーザーの使用量分だけ、前月の実績に応じて月額でソフトウェアライセンス料を支払うことができる。CSPプログラムではXenDesktopをまとめてでなく、XenAppなど個別の機能に分けてライセンス提供するという。IIJ-Techは自社のクラウドサービスへのXenDesktopの利用も検討しているという。
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