XPのパッチは今後5年続く

Windows 7への移行はSP1まで待つべきか?

2009/10/29

 Windows 7が発売され、マイクロソフトとその支持者は同OSの長所を褒めそやしている。これまでで最高のWindowsだと言い、Windows Vistaよりもはるかに素晴らしいと信じている(それは当然だろう)。

 だが、果たしてWindows XPよりも優れているのだろうか?

 これはすぐには答えられない疑問だ。Service Pack(SP3)のおかげで、Windows XPはマイクロソフトがリリースした中でも特に信頼性のあるバージョンのWindowsとなっている。それに、マイクロソフトがこれまでSP1までは堅固な体験を提供できなかったことを考えると、「企業はもう少し旧版OSを使い続けることを考えた方がいい」と主張するのはとんでもないことではないだろう。

 企業によっては、Windows 7の欠陥が修正されるまでXPを使い付けるのがいい選択かもしれない。その理由を以下に挙げる。

1. これまでの歴史を振り返って

 マイクロソフトは忘れてもらいたがっているだろうが、Windowsはリリース時に汚点を残している。最近記憶に残っているだけでも、同社がリリースしたOSはすべて、バグやセキュリティホールなどの問題を抱え、同社は急いでパッチを出すことになった。Windows 7も同じようになるのはほぼ確実だろう――それがプロセスの一部なのだ。SP1まで待てば、企業がこれらの問題にかけなければならない時間は減るだろう。

2. XPはタダ

 企業のもう1つの大きな検討事項がWindows 7の導入コストだ。確かにこれは新しいOSだが、新しいハードも必要だ。言い換えれば、企業のWindows 7の実装コストは非常に高くなる。そして今、多くの企業にとっては、新しいOSに多額の現金を投じることは受け入れがたい。

3. 景気が不透明

 上の項目と関連しているが、経済の見通しは不確かだ。景気回復が進んでいると言うエコノミストもいるが、彼らはほとんどいつも安全を期して、回復は弱々しいという言い方をしている。将来がどうなるのかは分からない。景気が悪化する可能性もある。新しいOSに多額のお金を投じるのは最善ではないかもしれない。

4. 生産性への影響

 ほとんどの企業では、XPからWindows 7への乗り換えはスムーズにいかないだろう。XPはWindows 7とは大きく違っている。Aeroインターフェイスはない。Windows 7のタスクバーだけでも、社員を混乱させるのに十分かもしれない。企業が最も対処したくないのは、ネットワークに新ハード・ソフトを導入したあとの生産性の問題だ。

 企業が今Windows 7を社員向けに導入したら、このような問題が起きる可能性は現実にある。時間をおいて、社員が自宅でWindows 7を導入してから、オフィスのアップデートに備える方がいいかもしれない。

5. セキュリティは大丈夫か

 Windows 7は発売からまだ数日。マイクロソフトはユーザーに同OSは安全だと信じてもらいたがっているが、そこまで安全かどうかは分からない。Windows 7はまだ市場で試されていない。企業はWindows 7で自社のデータが安全に守られるかどうかを知らない。「様子見」のアプローチにはメリットがある。

6. XPサポートはまだ続く

 企業がOSを乗り替える主な理由の1つがサポート終了だ。Windows XPでそれが起きるのはしばらく先のことだ。マイクロソフトはあと5年、XPのパッチを出してくれるという。しっかり腰を据えて、必要になったときに新しいOSに投資する時間は十分ある。

7. XPのソフトも良くなっている

 Windows 7にWindows Security Essentials、Internet Explorer(IE)8などの機能が内蔵されているからといって、XPユーザーが忘れ去られてしまったわけではない。それどころか、マイクロソフトはこれらのソフトをXPユーザーでもダウンロードできるようにしている。これまでXPを苦しめてきたセキュリティホールも、Security Essentialsと、より堅固なIE8があれば抑制できるかもしれない。

8. XPはネットブックで快適に動く

 ネットブックを検討する企業は増えている。だが、たとえWindows 7 Starterエディションが小型軽量のネットブック向けに設計されているといっても、XPと比べて大きく改良されたわけではない。実際、XPはネットブックで快適に動く。乗り替える理由があるだろうか?

9. サービスパックでずっと良くなる

 もう一度言うが、これまでのOSでは、マイクロソフトが最初のサービスパックをリリースすると、発売時よりも大きく信頼性が高まる傾向があった。確かにWindows XP SP1はセキュリティが向上していないと批判されたし、向上させるべきだった(これはSP2で修正された)が、機能が改善したことは否定できない。これまでのマイクロソフトのサービスパックが成功していることは証明済みだ。Windows 7 SP1を待つのはいい考えかもしれない。

10. 待ったところで困らない

 結局のところ、急いでWindows 7に乗り替えることはない。最新のOSではあるが、ほとんどの企業にとっては、ちゃんと機能しているOSの方が未知のOSよりもいい。待ってみた方がいい。ほかの企業の考えを見てから、心を決めることだ。Vistaがリリースされたときだって、このやり方で困ったことはなかっただろう?

原文へのリンク

(eWEEK Don Reisinger)

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