Bingはかなりの優れもの

グーグルはマイクロソフトを恐れるべき――その理由は

2009/11/06

 マイクロソフトがグーグルを恐れていることに議論の余地はない。マイクロソフトはやることなすことほとんどにおいて、グーグルに対抗している。オンラインへの取り組みは特にそうだ。グーグルがなかったら、マイクロソフトはヤフーとの提携など考えもしなかっただろう。だが、提携は実現した。それは不安から生まれた。

 だがグーグルもまた、マイクロソフトを恐れるべきなのだ。マイクロソフトはまだオンラインで足掛かりを得ようとしているところかもしれないが、巨大な企業だし、あきらめることはないだろう。それにこれまで、マイクロソフトは勝算が不確かなとき、それをうまく克服してきた。だから安心してほしい。マイクロソフトがただ単に転ぶようなことはないだろう。

 グーグルがマイクロソフトを恐れるべき理由を以下に挙げる。

1. マイクロソフトは巨大だ

 グーグルは素晴らしい株価が付いている大企業かもしれないが、マイクロソフトもまだIT業界では巨大な存在だ。マイクロソフトは四半期ごとに数十億ドルの利益を得ている。業界全体で最も強力なソフトウェアデベロッパーだ。投資したいものに投資できるだけの資金力もある。ビジネスの世界では、金があれば多くの問題を解決できる。マイクロソフトには金がある。

2. グーグルは新参者だ

 グーグルはChromeやAndroidなどのアプリケーションでソフトウェア分野に進出しようとしているが、まだ真に地歩を築いてはいない。ブラウザ市場では、いまのところはまだInternet Explorer(IE)がChromeを引き離して一人勝ちの状態にある。Androidは勢いを増しつつはあるが、まだモバイル分野で自身を確立できていない。Chrome OSは未知数だ。グーグルが始終見上げているのはマイクロソフトなのだ。

3. ヤフーとの提携は大きい

 ヤフーと提携したからといって、マイクロソフトが検索エンジン市場を支配することはできないだろうが、同社がグーグルに近づくチャンスは大きくなる。この提携のおかげで、検索市場は間もなく、2つの検索サービスの対決の場になるかもしれない。広告主が注目するのは確実だ。検索におけるマイクロソフトの立場が強まったら、グーグルはマイクロソフトが強くなりすぎた場合の悪影響を考えるべきだ。

4. Windowsはまだ強力だ

 かつてのような尊敬は集めていないかもしれないが、Windowsはいまもなお極めて重要なソフトだ。大多数のコンピュータに搭載されているし、企業向けOSのトップだ。ほとんどのユーザーは新しいものへの乗り替えに消極的だ。Chrome OSに多額の投資をしているグーグルは、それを自覚して気にしておくべきだ。どうすればChrome OSはWindowsに勝てるのか? どうすればグーグルは投資を回収できるのか? Windows 7に満足する人が増えるほど、グーグルとChrome OSにとっては分が悪くなる。

5. マイクロソフトはよくなっている

 数年前なら、マイクロソフトは自社製品のユーザーを本当に理解しているとは言い難かっただろう。マイクロソフトが現状維持に甘んじていた間に、グーグルなどほかの企業が新たに業界をリードしたようだ。いまはもう違うと思う。いまのマイクロソフトはユーザーが望むものを理解しているようだ。それが何よりはっきり分かるのが、Windows 7とBingだ。もう、ユーザーを理解している企業はグーグルだけではないのだ。

6. Bingはかなりの優れもの

 Microsoft Liveは大したものではなかった。だがユーザーがBingを試してみたら、その検索結果に満足するだろう。Bingはグーグルで見られるのとほぼ同じ検索結果を提供する。それにビジュアル検索などの付加機能のおかげで、グーグル検索にはないものがいくつか加わっている。Bingが検索市場で勢力を伸ばす理由はある。Bingはかなりの優れものなのだ。

7. マイクロソフトはグーグルを狙っている

 グーグルはマイクロソフトを標的に据えているかもしれないが、マイクロソフトもまたグーグルに狙いを付けている。マイクロソフトは市場におけるグーグルの影響を押さえ込むための戦略を用意している。同社は自分のやりたいことを分かっている。それに資金力があるので、マイクロソフトにチャンスがないとは簡単には言えないと思う。

8. 企業はマイクロソフトを信頼している

 グーグルはコンシューマ分野では好調かもしれないが、法人分野ではまだ大きく後れている。同社のモバイルプラットフォームはまだ法人を取り込めていない。グーグルドキュメントは、マイクロソフト Officeから企業ユーザーを奪えるだけの十分な価値を提供していない。これら2つの重要な要素がなければ、グーグルはいずれのサービスでも大したことはできないだろう。

9. 「未来はクラウドにあり」をマイクロソフトも理解している

 グーグルは、未来はインターネット上にあるということを分かっているかもしれないが、マイクロソフトもそれを理解しているはずだ。マイクロソフトはWebでグーグルと戦うつもりだということを明確にしている。Officeなどより多くの自社サービスをインターネットに展開し始めている。マイクロソフトはクラウドコンピューティングのトレンドに深く踏み込んでいる。

10. Windows 7は未知の要因

 Windows Vistaは使い物にならなかったかもしれないが、Windows 7は別物だ。Windows 7のありのままの姿――Vistaが本来そうあるべきだった姿――を見ているユーザーは、同OSに満足している。Windows 7が成功するほど、グーグルがソフトウェア市場に進出する上での問題は大きくなる。グーグルはそれを知っているし、マイクロソフトも分かっている。

 グーグルは現状に満足しすぎてはいけない。マイクロソフトはこの戦いに深く食い込んでいる。

原文へのリンク

(eWEEK Don Reisinger)

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