レッドハット社長が日本法人10周年で挨拶

Linuxが初めてUnixを凌駕、メインフレームの背中も見えた

2009/11/10

 「今年初めてサーバOS市場でLinuxはUnixを凌駕する。来年はメインフレームにキャッチアップして、さらにその2年後には40年続いたキープレイヤーの主客が交代し、ミッションクリティカルの分野でもLinuxが主役になる」。

LinuxはUnixを凌駕し、今後メインフレームとも交代する

redhat01.jpg レッドハット 代表取締役社長 廣川裕司氏

 1999年9月にレッドハットが日本法人を設立して10年。10周年にあたって会見を開いた同社代表取締役社長 廣川裕司氏は、2009年5月のIDC Japanの調査結果を引用しながら、こうLinuxを取り巻く環境を説明する。2009年は同社設立10周年という節目であると同時に、過去10年間、徐々にベンダ固有のUnixを置き換えてきたLinuxが、とうとうUnixを追い抜く象徴的な年になるのだという。

 2009年夏には不動産や法人の登記データを管理するシステムを、富士通が法務省から受注。Linuxが採用された。「メインフレームからUnixを飛び越してLinuxに来た象徴的なプロジェクトで、これは来年にも稼働する」(廣川氏)。

 OS市場がシュリンクして、2009年にはWindowsサーバすら初のマイナス成長となる悪環境の中、Linux市場は「7.8%と唯一のプラス成長」(廣川氏)という。サーバ機としてx86アーキテクチャ採用が加速し、ミドルウェアを含むソフトウェアに対するOSSへの需要が大きいことなどが背景にあるという。同社はOSSへの需要を中長期的なトレンドと見ており、JBossなどを中心にOSSベースのミドルウェアビジネスも拡大させている。日本ではOSSの浸透が遅れてきたことから6月にはビジネス利用者向けのユーザー会を発足し、成功事例の紹介や活性化につなげる活動を続けているという。

os.jpg 廣川氏が示したOS市場動向の資料(IDC Japan調べのデータ)

ハーストCEO、“箱入りクラウド”を揶揄

 来日中のジム・ホワイトハースト氏(米レッドハット プレジデント兼CEO)も会見で同社の取り組みとビジョンを語り、改めてオープンソース開発モデルの優位性を強調した。

redhat02.jpg 米レッドハット プレジデント兼CEOのジム・ホワイトハースト氏

 経済環境の悪化の中、Linux市場で84%のシェアを持つ同社のビジネスは今も2桁成長を続けているという。「これほどのペースで成長するテクノロジ企業は、ほとんどない」(ハースト氏)。

 注目の技術は仮想化とクラウドだが、ハースト氏は「われわれはクラウド・コンピューティングのリーダー的存在だと言っていただくことが多いが、実際にはクラウド関連の製品やサービスは1つもない」ことを指摘。レッドハットは仮想化を含めたOSSスタックのエンタープライズ向けサポートは行うが、特定製品、開発言語、フレームワークだけを顧客に押しつけることはないのだという。それはインターネットが成功してきたオープンな標準化モデルに通じるという。「インターネットとCompuServe(パソコン通信サービス大手)の戦いでインターネットが勝ったのは、コモディティ化され、標準化されたオープンなレイヤ上でイノベーションが起こったからです。われわれはエンタープライズ市場でも同様のことに取り組んでいます」(ハースト氏)。仮想環境でもネイティブ環境でも、Red Hat Enterprise Linux上で構築した業務アプリケーションであれば、仮想化環境やクラウドプラットフォームであってもそのまま利用できることから、ポータビリティの高さが強みだと話した。

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(@IT 西村賢)

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