地味に便利に

地図と地名をAjaxで対応、Googleマップが新機能

2009/11/12

 表示中の地図を上下左右にスライドすると、表示中の場所に含まれる住所を動的に表示する――。こんな一見地味でありながら、今までになかったタイプのサービスが11月12日にGoogleマップで始まった。「クリック検索」と名付けられた新機能は、住所と地図を対応させる。全国表示の状態から「東京都→千代田区→大手町→1→…」と絞り込んでいくこともできるし、逆に地図側をスライド、もしくは拡大・縮小することで、そこに含まれる住所を文字で表示する。

maps01.png 表示中の地図に含まれる住所が左上に動的に表示されている。地図をスライドしたり、スクロールしたりすると、それにともなって適当な地名が表示される。地名をクリックして地図を表示することもできる
google01.jpg 新機能「クリック検索」について説明するグーグルのソフトウェアエンジニア 後藤説人氏

 実装を担当したソフトウェアエンジニアの後藤説人氏は、日本の地名には漢字が読みが難しいものや、長いものが多く、入力しづらいことがあるのが新機能開発の動機と話す。地名が難しいだけでなく、地図を見ていても、自分が見ている場所の住所が分からないという日本固有の問題に対処できる。日本や韓国を除く多くの国では、住所は通りの名前とひも付いており、フラットなデータ構造で検索が可能だが、日本の場合は各住所が面に対応しているという違いがあるという。

 新機能のクリック検索では、都道府県から番地などにいたるまで地名情報を8段階のツリー構造としてデータ化。県庁所在地や、各住所と対応する地域の重心点による判定など、細かなアルゴリズムの積み重ねで住所と地図の対応機能を実現したという。試用してみると地図に表示されていないはずの「北海道」が住所側に表示されるケースも見受けられるなど、精度は完璧ではないが、表示中の地図に含まれる、どのレベルの住所を、どういう順序で表示するかという問題では「グーグルならではの苦労があった」(後藤氏)という。

 クリック検索の機能は日本発で、他国で採用されるかどうかは分からない。各国の担当者が利用者からのニーズがあると見れば採用することになるという。

郵便番号検索やトイレ検索も

 「Googleマップは、いつもホームランばかり打とうとしているイメージがあるかもしれません。でも、そうではなく地味な日々を送っています」。こう述べるのはグーグルでプロダクトマネージャーを務める河合敬一氏だ。3D表示やGoogleストリートビューといった見た目に訴える派手なサービスだけでなく、小さな改善を続けているという。

 クリック検索はそうした比較的地味な機能の1つだが、11月9日にリリースした機能として、ほかにも、「郵便番号検索」と「トイレ検索」の2つがあるという。

 郵便番号検索は文字通り、郵便番号から住所に、住所から郵便番号に変換する検索サービス。「100-6807」や「郵便番号 東京都千代田区」と通常の検索テキストボックスに入力することで、検索結果に直接対応する郵便番号と住所を表示するというもの。

yubin.png 郵便番号検索。番号から住所、住所から番号を検索できる

 トイレ検索は、NPO法人の「チェック ア トイレット」が収集したトイレ情報をGoogleマップの地図検索から利用できるサービス。車いす対応、ベビーシート対応といった“多機能トイレ”の所在や詳細な情報を表示する。トイレへのアプローチに段差があるのか、どういった施設に設置されているのかといった情報が得られるほか、Googleストリートビューで確認することで、出かける前に、事前にチェックすることができる。

toilet01.png トイレ検索では、車いす対応、ベビーシート対応といった多機能トイレの所在を検索できる
toilet02.png 各トイレの詳細情報

 地図をプラットフォームとして付加情報をひも付けるサービスとしては、すでに全国の歯科医の98%をカバーしているほか、美容情報、店舗情報などをパートナー各社との協業で提供している。グーグルからパートナー企業に対価を払うことはないが、詳細情報を求める利用者をパートナー企業のサービスに誘導することで、双方のメリットとなるようにしているという。

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(@IT 西村賢)

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