Microsoft PDC2009レポート

MS、公的データを活用するプラットフォーム「Dallas」を発表

2009/11/18

　マイクロソフトは11月17日に米国ロサンゼルスで開催中のPDC2009の基調講演で、Microsoft Pinpoint上で提供する新プラットフォーム、コードネーム「Dallas」を発表した。PinpointはAzure向けのサードパーティ製アプリケーションのマーケット、DallasはPinpointの一部で、アプリケーションではなく、大きなデータセットを提供・利用するためのプラットフォームだ。現在はCTP版として利用できる。

Dallasは有償・無償のデータセットを提供・利用できるプラットフォーム

　政府やNPO、企業が持つ大きなデータセットを有償・無償でクラウド上で提供するサービスとして、すでにAmazon Web Servicesの「Public Data sets on AWS」がある。Dallasも同様のサービスだが、アマゾンが素のデータを想定しているのに対して、Dallasではデータセットの利用の面にまで突っ込んだサービスとなっていて、一気にアマゾンを追い抜いた感もある。具体的には、データに対して特別な処理やパージングをすることなく、Webブラウザ上で抽出表示したり、Excelと連携して手元のPCで解析する機能、個々のデータセットに対応したクラスライブラリやATOMデータの自動生成などが行える。

Dallasで公開されているデータはExcelで解析できる

ローカルアプリケーションとの連携例。Azure上にあるNASAのMars Pathfinderの画像データをWPFを使ったアプリケーションで読み込み、ステレオ3Dグラフィックを生成している

　Dallasで利用できるのはNASAやAP通信が提供するDATA.gov、infoUSA、National Geographicなどのデータで、有料のものと無料のものがある。デモンストレーションではNASAのMars Pathfinderのデータを、ローカルPC上でステレオ3Dとして表示するという例を示した。

　Dallasを発表する基調講演にライブ・ビデオでワシントンから参加した米国連邦政府CIOのビベク・クンドラ（Vivek Kundra）氏は、マイクロソフトの取り組みを「データの民主化」として歓迎。衛星の測位情報をパブリックにアクセス可能としたことでGPS関連市場が興隆した例を挙げ、データを公開することがイノベーションにつながるとした。オバマ大統領の政権下、こうしたオープン政策が進められており、政府だけでも地域ごとの汚染レベルのデータや、航空局が持つ都市間の平均飛行時間のデータなど100セットを公開しているという。クンドラ氏はiPhone向けの雇用情報検索アプリケーションを示しながら、「これはものの数日で実装できたアプリケーション。こうしたものを何億ドルもかけて作ってはいけない」と話した。