開発者も大切に

アップルが対処すべきApp Storeの問題点

2009/12/02

 特定のデバイスを評価するに当たっては、それを取り巻く環境から切り離した状態で行うわけにはいかない。製品を構成しているのはハードウェアとソフトウェアだけではないからだ。そのことが特に顕著になるのは、アップルの携帯電話iPhoneを評価する場合だ。この製品はモバイル市場に革命を引き起こし、携帯電話に対するコンシューマーの見方を変えた。そこには少なからずApp Storeの貢献がある。

 アップルのApp Storeは、この分野で最も成功したモバイルアプリストアであることは間違いない。同ストアでは現在、医薬、ビジネス、ゲーム、教育など幅広い分野にわたる10万本以上のアプリが提供されている。素晴らしいコンテンツもたくさんある。だが完ぺきではない。このストアはユーザーをいら立たせ、開発者を悩ませる問題をいくつか抱えている。これらの問題を列挙してみよう。

1. 質より量?

 App Storeでは、そこで提供されているアプリケーションの数の多さが、これらのアプリケーションの品質を圧倒しているように思える。ストアには優れたアプリがないと言っているのではないが(実際、優れたアプリもある)、独創性と有用性に欠ける多数のアプリがいとも簡単に登録されているのだ。さらに問題なのは、アップルがストアに登録されたアプリの数を宣伝していることだ。アップルに言いたいのは、われわれは量ではなく、より高い品質を求めているということだ。

2. 企業ユーザーを忘れないで

 App Storeは最近、大きな前進を遂げたが、企業向けアプリケーションはまだ少な過ぎる。これは主として、アップルのユーザーベースがコンシューマーを主体とすることによるものだが、App Storeには有用な企業向けアプリケーションに対するニーズが存在することも確かだ。

3. 開発者も大切

 売り上げも大事かもしれないが、開発者を大切にする必要があることもアップルは認識すべきだ。残念ながら、同社はまだその認識に至っていないようだ。そのため、ほかのプラットフォームにくら替えしている開発者もいる。OSを提供する企業にとっては、開発者との意志疎通を図ることが必要不可欠であることをアップルは忘れてはならない。

4. アプリの承認プロセスを明朗に

 App Storeの最大の問題の1つは、開発者には自分のアプリケーションがストアへの登録を承認されるかどうか知るすべがないことだ。アプリケーションを開発しても、それが承認されるかどうかは、文字通り五分五分の可能性なのだ。この状況は変える必要がある。アップルは、App Storeの承認プロセスを改善して透明性を高めることを来年の優先課題とすべきだ。開発者にとっては、結果をある程度予測できることが必要なのだ。

5. AT&Tの影響を排除する

 アプリの承認プロセスにおけるAT&Tの影響は、トラブルの原因となっている。アップルがGoogle Voiceを検討したとき、AT&Tが介入した(訳注:AT&Tは当局に対し、介入していないと明言している)。同社はまた、VoIPアプリケーションが一切、3Gネットワーク上で動作できないことも明らかにした(訳注:AT&Tは10月に、3Gネットワーク上でVoIPを許可すると発表している)。これらは氷山の一角にすぎない。App StoreにおけるAT&Tの役割を排除すべきだ。問題を引き起こしているからだ。

6. 秘密主義

 App Storeの承認プロセスの最大の特徴の1つが秘密主義だ。アップルは必要に迫られない限り、情報を出そうとしない。特に問題なのは、開発者とユーザーがApp Storeおよびその承認プロセスでどんなことを期待できるのかを理解できるようにするために、アップルがそのサービスをオープンにしようという姿勢が見られないことだ。これは由々しき問題だ。

7. 過ちを認める

 アップルが誤ってアプリケーションを却下し、その後の再検討(主としてメディアで取り上げられたときに行われる)の結果、アプリケーションのストア登録を認めた場合には、過ちを犯したことを素直に認め、こうしたことが再び起きないように努力するという姿勢を表明すべきだ。残念ながら、同社はそういったことを一切していない。それどころか、同社は相変わらず、きちんとした理由を示すこともなく有用なアプリケーションを却下している。そして問題になったときだけ、何事もなかったかのようにアプリケーションをこっそりと認可するのだ。これは恥ずべきことだ。

8. 分類整理が必要

 App Storeが抱える大きな問題の1つに、アプリを見付けるのに苦労することがある。残念ながら、ユーザーは求めるプログラムを見付けるまでに、不要なアプリケーションをかき分けるのに多くの時間を費やす必要があるのが現状だ。これはいら立たしいばかりでなく、役立つアプリのダウンロードにも支障が生じる恐れがある。

9. ユーザーのことを忘れないで

 残念ながら、アップルがApp Storeのユーザーのことを本当に理解しているとは思えない。同ストアには多くのユーザーにアピールするたくさんのアプリが登録されているが、アップルがアプリを却下する決定の中にはばかげたものもある。アップルには、誰がiPhoneを所有しているのかをよく思い出し、何事もそれを出発点として決定するようにしてもらいたい。

10. 競争の欠如

 恐らくApp Storeが抱えている最大の問題の1つは、アップルを神経質にさせるような厳しい競争が存在しないことだろう。今のところ、アップルのApp Storeはモバイルアプリケーション分野を圧倒的に支配しており、Android MarketやBlackBerry App Worldが近いうちに同ストアの地位を奪う可能性は低い。この市場に本当の競争が出現するまでは、アップルが自らApp Storeの方針を大きく変更するとは思えない。

原文へのリンク

(eWEEK Don Reisinger)

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