シンクライアント端末の新製品を発表

急速に変化するシンクライアント環境、日本HPの対策は

2009/12/02

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は11月30日、同社の主力シンクライアント端末t5730wの後継機種である「HP t5740 Thin Client」を12月2日に販売開始すると発表した。

 現在、シンクライアント端末の用途としては、ターミナルサービス、そしてデスクトップ仮想化への流れが最もポテンシャルに富んでいる。しかし、この分野におけるカギとなるデスクトップ仮想化ソフトウェアは、ベンダ間の競争の激化に伴い、製品のバージョンアップ間隔が短縮化している。同時に、これらのデスクトップ仮想化ソフトウェアが、シンクライアント端末に求める要件も高まる傾向にある。例えば、2005年4月に日本HPが販売開始したt5710では、パワー不足のため、ヴイエムウェアのデスクトップ仮想化ソフト最新版「VMware View 4」で新に採用されたデスクトップ接続プロトコルの「PC over IP」が動かせないという(従来どおりのRDPによる接続は可能)。

hp01.jpg 日本HPのシンクライアント端末ラインアップにおける新製品の位置付け

 シンクライアントは元来、デスクトップOSなどの進化にかかわらず、安価な端末を長い年月にわたって使えるからこそ、TCO削減につながる大きなメリットがある。デスクトップ仮想化ソフトの急速な進化はこれと相反する、皮肉な状況といえる。

hp02.jpg 日本HP パーソナルシステムズ事業統括クライアントソリューション本部 本部長 九嶋俊一氏

 デスクトップ仮想化ソフトのバージョンアップで新たな端末が必要になるのは、日本HPに限らず端末を売る立場からすれば、悪いことではない。だが、TCO削減を目的としてシンクライアント環境を導入する企業にとっては納得しがたい。そこで新製品のt5740では、頻繁な仮想化ソフトウェアのバージョンアップに対応し、今後数年間は十分に使えるようにすることを最大のテーマに掲げたと、日本HP パーソナルシステムズ事業統括クライアントソリューション本部 本部長 九嶋俊一氏は説明した。同氏は、HPがVMware View 4のハードウェア互換性リストに最も多くの端末がリストされているベンダであることを示した。

 t5740は、RAMを標準で1GB、記憶領域としてフラッシュメモリを2GB搭載している点はt5730wと変わらない。だが、CPUはAtom N280(1.66GHz)に変更し、これまでのt5730wと比較して、処理性能を1.3倍に向上したという。一方、販売価格は4万8300円(税込)と、約20%の値下げとなった。新製品はまた、DisplayPortを新規に採用してデュアルモニタに標準対応、空きのRAMスロットでメモリを拡張できる、SATA II経由でSSDを接続できる、そしてオプションのPCIe x4/PCI拡張モジュールで、さまざまなカードを接続できる、といった特徴を持っている。

hp03.jpg 新製品t5740の特徴

 OSにはt5730wに引き続き、 Windows Embedded Standardを採用した。これも、将来のデスクトップ仮想化ソフトウェアにおける変化に追従しやすいメリットがあると日本HPでは説明する。デスクトップ仮想化ソフトウェアと組み合わせずに、Web端末として使うこともできる。

 また、新たに「HP Easy Config Utility」というソフトウェアツールを標準搭載した。これは各端末をVMWare Viewで使うか、XenDesktopで使うか、それともWeb端末として使うかを、電源オン時に立ち上がる画面で簡単に設定できるもの。一度設定してしまえば、ユーザーがこれを変更することはできない。

hp04.jpg Easy Configで、端末の初期設定作業を簡素化

 日本HPはさらに、同社の販売するVMware View 4、Citrix XenDesktop 4のパッケージ構成と価格も明らかにした。例えばVMware View 4 Enterprise Starter Kit 10VMパック(1年のサポート&サブスクリプション含む・以下同)で21万円(税込・以下同)、VMware View 4 Premier Starter Kit 10VMパックが36万1200円、Citrix XenDesktop 4 Enterprise Edition 20 NUライセンスが53万7600円、Citrix XenDesktop 4 Platinum Edition 20 NUライセンスが84万7350円、などだ。

 日本HPは、この2つのデスクトップ仮想化ソフトの新バージョンについてどう考えているのか。九嶋氏は、「(VMware View 4の)PCoIPは重要なテクノロジの進化。RDPではネットワーク帯域の要件などにより、シンクライアント環境が実装できるユーザー企業は限られていた。これを改善した新たなプロトコルにより、シンクライアントの市場が大きくなる。XenDesktop 4についてはライセンス体系の変更(でXenAppをXenDesktopの主力パッケージすべてに含めたこと)が重要なポイント。XenApp(旧 Presentation Server)は依然として魅力的。仮想PCだけで構成すると、OSを含めた初期コストはかなり大きくなってしまう。XenAppではクライアントOSのライセンスが必要ない。一般的な企業では、ユーザーによってXenAppと仮想PCを使い分けることによってコストを圧縮できる。これはシンクライアントのビジネスという点で大きい」と答えた。

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(@IT 三木泉)

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