通常インスタンスの半値
Amazon EC2の変動相場、深夜1時が最高値!?
2009/12/16
米アマゾン傘下のAmazon Web Servicesが12月14日に開始した新しい課金方式「Amazon Spot Instances」の相場変動の様子が少しだけ見えてきた。まだ運用の日数が少ないものの、計算リソースの料金を相場制で運用すると、以下のグラフのようにそれぞれのデータセンターの現地時間で深夜1時ごろをピークとして24時間サイクルで最安値と最高値を繰り返すパターンとなるのかもしれない。
Spot Instancesは需要と供給によってEC2インスタンスの価格を時間変動させる、新しい課金モデルだ。利用者はあらかじめ入札を行い、その入札額や数量(需要)と、AWSが持つSpot Instances用のリソース(供給)から、その時々のスポット価格は算定される(関連記事:Amazon EC2の課金モデルに入札方式が追加)。
このスポット価格はAPI経由、もしくはAWSサービス利用者が使えるWebブラウザ上の管理コンソールで履歴を確認できるようになっている。現在確認できるスポット価格データは、ベータサービス公開以前の12月1日分から蓄積されている。サービスイン以前の価格は参考にならないが、少なくとも2日分の実績は出てきている。
例えば北米東海岸でデフォルト(small)のインスタンスをLinux/UNIXで起動した場合、1時間当たり0.085ドルの課金がかかる。これに対して、現在までの実績では最安値が0.026ドル、最高値が0.035ドルとなっている。まだ本格運用には遠いため予測は難しいが、もしこれが今後の相場を反映するものであるとすれば、通常コストの半分以下という安価な計算リソースが登場したことになる。
これはあらかじめインスタンスを1年、もしくは3年という期間予約しておくことで安く利用できるReserved Instancesの0.03ドルと同レベル。ただし、Reserved Instancesは文字通り利用するインスタンス数分だけ、あらかじめ初期費用(1年で227.5ドル、3年で350ドル)を支払う必要があるため、必要に応じて重たい処理をスケールアウトしたクラスタで行うという用途には使えない。
AWSは2010年中にアジア地域に拠点を展開する計画を発表している。グローバルにAWS向けのデータセンターを運用できるようになれば、計算処理を行う利用者は安い場所、時間帯を選んでインスタンスを移動させるようになるだろう。価格は電気代や需要で動的に変わるため、今後クラウドを使った計算処理は、夜間地域に集まるようになっていくだろう。もちろん処理対象のデータセットが大きいと、処理場所の移動コストのほうが大きすぎてデータセンターの選択的利用は難しいが、相場制によるリソースの有効配分は、今後のクラウド進化の1つの潮流となっていく可能性があるかもしれない。
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