ホスティングとGoogle Appsを連携
中小企業に必要なのはハイブリッドなクラウド
2010/01/13
2010年はクラウド利用が本格化する“クラウド元年”になるが、中小企業がクラウドに移行するためには、「一見いびつでも、従来から提供している現行のホスティングサービスに、クラウドを連携させる“ハイブリッド・ホスティング”というプロセスを経る必要がある」。こう語るのは、1月13日に共用レンタルサーバでGoogle Apps Premier Editionとの連携を開始すると発表したKDDIウェブコミュニケーションズの高畑哲平氏(SMB事業本部 事業本部長)だ。
全国に約590万ある事業所のうち従業員数が50名以下のところは全体の97%。こうした事業所では、メールを中心とするITシステムをホスティングサービスでまかなうことが多いが、そのホスティング事業を手がける同社の肌感覚として、クラウド移行の課題は「ITスキル」と「費用対効果」だと高畑氏は指摘する。
「50名以下の事業所には、1人ぐらいITに詳しい人がいるかもしれない。でももし、そうでなければ永久にクラウドに移行しないだろう」(高畑氏)
日々サポート業務を見ている同社としては、メールのサーバ設定、アカウント設定でも多くのトラブルが発生しているのに、MXレコードやCNAMEといったITジャーゴンが出てくるGoogle Appsの設定は、かなり困難だろうと見ているという。「昨年、一昨年あたりから、『ケータイは分かるがドメインって何だ?』という利用者が増えている。こういう状況では中小企業でクラウドが流行するか、疑問だ」(高畑氏)
こうしたことから、最初は既存のメールサーバの運用に対して、追加的にチェックボックスにマークを入れることで、GmailをWebメールのように扱えるようにする。「技術的要素を一切なくすようにした。これで無意識なクラウド利用ができる」(高畑氏)。具体的には同社のホスティングサービス「シェアードプランZシリーズ」の導入で、Google Appsの1アカウントを提供する。追加アカウントは1アカウント当たり月額500円。
中小企業のクラウド移行において、もう1つの課題は費用対効果で説得力のあるサービスとなるか、という点だ。
「ホスティングでメールを使っている企業は、1アカウント当たり20円ぐらいで利用している。一方、Google Appsは1アカウント500円。クラウドといってもコストダウンではない。500円だと付加価値が必要」(高畑氏)
付加価値の1つは、グーグルが世界規模でデータセンターを運用していること。代表取締役社長の山瀬明宏氏は、海外出張の際に、既存のホスティングサーバ上のメールサーバに対するアクセスと、Gmailとで大きな体感速度の差を感じたといい、これがKDDIという親会社ではなく、グーグルのサービスと連携することを決めた大きな理由という。
Gmailだけでなく、GoogleドキュメントやGoogleカレンダー、インスタントメッセージが利用できることも、Google Appsのメリットだが、まずはGmailをWebメールのように使ってもらうことで、Google Apps Premier Editionの導入の糸口をつかみ、日本の中小企業にクラウドサービス利用を広めたい考えだ。
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