業界の関心はGoogle AndroidやChrome OSに!?

「Windows Mobile 7」のリリース、2011年に延期か

2010/01/18

 米マイクロソフトのスマートフォン用OS「Windows Mobile 7」のリリースは2011年に延期されるのだろうか。

 1月に入ってネット上で流れたうわさによれば、その可能性もありそうだ。このうわさの最大の根拠となっているのは、Bright Side of Newsに掲載された記事だ。この記事は「マイクロソフト、レノボ、Qualcomm、Texas Instruments(TI)、ノキア、NVIDIA、HTCなど多くの企業の担当者から話を聞いたところ、皆、同じことを言っていた――Mobile 7のリリースは2011年に延期され、業界の関心はGoogle AndroidやChrome OSに移りつつあるということだ」と述べている。

 同サイトの記事、そしてそれに誘発されたうわさは、マイクロソフトがここ数カ月間にわたって示唆してきたことと食い違っているようだ。同社では、Mobile 7は2010年に登場する見込みだとしてきた。

 マイクロソフトは、今月初めにラスベガスで開催された2010 International Consumer Electronics Show(CES)において、Mobile 6.5で動作する数機種のスマートフォンを披露し、1月6日のキーノートスピーチではスティーブ・バルマーCEOはMobile 7に言及しなかった。

 しかしCES開催中に行われた記者会見では、マイクロソフトのエンターテインメント&デバイス部門のロビン・バーク社長は、2月にバルセロナで開催されるMobile World CongressでMobile 7がデビューする可能性を示唆した。

 マイクロソフトが公表した会見記録によると、Mobile 7のリリース時期に関する質問に対してバーク氏は「Mobile World Congressでは新しいものを紹介するつもりだ」と答えた。「私はこの製品を見たし、少し試すこともできた。皆さんがこれを見れば、非常に斬新な製品だと感じるものと確信している」

 さらにバーク氏は「この製品のルック&フィールと動作は、従来製品とはまったく異なる」と付け加えた。

 昨年の段階では、Mobile 7は2010年に登場する可能性があると報じられていた。この製品はモバイルOS市場で、RIM(Research In Motion)のBlackBerry、アップルのiPhoneなどとの厳しい競争に直面するマイクロソフトがシェア低下に歯止めを掛けることを狙った同社の広範な戦略の一環となるもの。しかしマイクロソフトでは、Mobile 7関連の報道やうわさに関する米eWEEKの再三の問い合わせに対してコメントを拒否し、「われわれは常に将来版の開発を行っており、新たに発表することはない」と述べるにとどまっている。

 ノキアの広報担当者ジョセフ・ガロ氏は、Bright Side of Newsの報道に関するeWEEKの取材に対して次のように語った。

 「うわさや憶測、競合企業の発表などについてはコメントしないのが当社の方針だ。Windows Mobileは当社が採用しているスマートフォンOSではないので、コメントすることはできない」

 HTCも、マイクロソフトがMobile 7の製品版を2010年にリリースすることを約束したかとの質問に回答した。

 HTCの広報担当者キース・ノーワーク氏はeWEEKの取材に対して1月14日、「当社の総合的な製品ラインアップの一部として、われわれはWindows MobileとAndroidの両方に強くコミットしている。HTCでは今後も、両OSをベースとして充実した製品ポートフォリオの開発を続ける方針だ」と電子メールで回答した。

 さらにノーワーク氏は、HTCは2010年、Windows Mobileで動作する数機種のスマートフォンを発表する予定だと付け加えたが、これらのデバイスがどのOSバージョンで動作するのかについては言明を避けた。

 Bright Side of Newsの記事を書いたテオ・バリック氏はeWEEKの取材に対し、「これはマイクロソフトがMobile 7のリリースを2011年に延期するという問題ではなく、2010年に同製品が登場すれば、どの企業がそれを採用するのかという問題だ」と電子メールで答えた。

 バリック氏はこの持論の根拠について、数社の企業の幹部から話を聞いたところ、「マイクロソフトが同OSのリリースを何度も延期しており、すでに何百万ドルもの投資を行ってきた各社はいつまでもWindows Mobileプラットフォームにとどまることはできないということだった」と述べている。同氏によると、これらの企業では、Google Android OSを組み込んだスマートフォンの開発に人員シフトし始めたという。

 一方、マイクロソフトおよび少なくとも1社の製造パートナー(Sony Ericsson)が、「Windows Mobile 6.5.3」を搭載したスマートフォンを発表する予定だ。同バージョンは、昨年10月にデビューしたMobile 6.5のマイナーアップグレードだと伝えられている。

 確かな根拠に基づく話として、ノキアの従業員が匿名を条件に語ったところによると、Bright Side of Newsの報道は“奇妙”だという。2月のMobile World Congressまでは、Mobile 7の最終的なリリース時期は明らかにされないからだ。一方、同カンファレンスでデビューするOSは「Mobile 6.6」ではないかといううわさも流れている。

原文へのリンク

(eWEEK Nicholas Kolakowski)

情報をお寄せください:

HTML5 + UX フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

キャリアアップ

- PR -

注目のテーマ

ソリューションFLASH

「ITmedia マーケティング」新着記事

「TikTok禁止」は結局、誰得? どうするトランプ氏――2025年のSNS大予測(TikTok編)
米国での存続を巡る議論が続く一方で、アプリ内ショッピングやAI機能の拡大など、TikTok...

ネットの口コミを参考に8割超が商品を購入 最も参考にした口コミの掲載先は?
ホットリンクは、口コミ投稿の経験や購買への影響を調査した結果を発表した。

「生成AIの普及でSEOはオワコン」説は本当か?
生成AIの普及によりSEOが「オワコン」化するという言説を頻繁に耳にするようになりました...