運用負荷を軽減するGUIツールを添付

NECの仮想化環境パッケージ、まず中堅企業の「クラウドをくれ」に応える

2010/01/22

 NECは1月21日、サーバやストレージ、スイッチなどをパッケージ化した「Cloud Platform Suite」の販売活動を開始したと発表した。中堅企業向けの「スタンダードパッケージ」、大規模企業データセンター向けの「エンタープライズパッケージ」、通信事業者など大規模環境向けの「データセンターパッケージ」の3種で構成される。出荷時期はスタンダードが2月下旬、エンタープライズが4月以降、データセンターが2月下旬だ。

 こうした「仮想化環境 in a box」的な商品は、すでに国内外の主要サーバベンダが提供しており、NECは最後発といえる。

 しかしNECは中堅・中小企業への強力な販売代理店網を持っており、「(社内)クラウドをくれ」というユーザー企業のニーズに即座に応えるための、販売する側にとっても手離れのいい商品を投入するのが今回の発表の目的の1つだ。中堅企業を顧客とする販売代理店は、こうしたパッケージ商品の登場を待っているところが多いという。大企業のIT部門や通信事業者などでも、これから仮想化環境を導入する場合には「面倒なく、すぐ使い始めたい」というニーズがある。NECは今回のパッケージでこうした、サーバ仮想化環境の初期導入ニーズをカバーしようとしている。新製品は同社のネットワークソリューション事業本部も扱う。ネットワーク製品の販売店にも徐々に販路を広げていくという。

nec01.jpg 3つのパッケージの位置付け

 3つのパッケージそれぞれの構成は、下記のとおりだ。ハイパーバイザは、スタンダードには含まれておらず、エンタープライズ、データセンターにはVMware vSphere 4が含まれている。ただし、今後すべてのパッケージでHyper-VとvSphere 4を選択できるようにするという。スタンダードパッケージではストレージに「Express5800/SIGMABLADE」へ搭載するNASブレードを採用し、省スペース化を図っている。電圧は100Vに対応で、オフィスにも設置可能。エンタープライズパッケージはファイバチャネルストレージを採用した。データセンターパッケージはサーバに「Express5800/ECO CENTER」を用い、DC48Vへの対応によって通信事業者の局舎にも設置できるとしている。

nec02.jpg スタンダードパッケージの構成。価格は871万円から
nec03.jpg エンタープライズパッケージの構成。価格は3880万円から
nec04.jpg データセンターパッケージの構成。価格は2億5000万円から

 このパッケージでは、「Express5800シリーズ」「iStorageシリーズ」「UNIVERGEシリーズ」「WebSAM SigmaSystemCenter」などを検証・インストール済みで納入する。特にスタンダードパッケージでは、個別製品で構築する場合に5日掛かるところを最短で約1時間に短縮できるという。

 今回のパッケージの価格は、構成製品を個別に買う場合とあまり変わらないという。だが、「お客様の環境に即した(導入の楽な)パッケージがあるということを打ち出していきたい」とサーバステーション事業本部長の庄司信一氏は話した。

nec05.jpg NEC サーバステーション事業本部長の庄司信一氏

 今回の製品には、クラウド的な仮想化環境の運用を支援する特別なGUIを用意する。このGUIは「仮想サーバ作成」「物理リソース管理」など少数の選択肢のみを表示。仮想サーバ作成では、あらかじめ設定されたテンプレートに基づいて、各仮想マシンのメモリ量およびストレージ容量、作成個数を指定するだけで、自動的な名前付けとIPアドレス割り当てを適用した多数の仮想マシンを一括生成することができる。

 管理ソフトウェア面では、自己主張を抑えているのも今回のパッケージの特徴。この種の仮想化環境パッケージには、実質的に管理プラットフォームの入れ替えを求めるものがあるが、既存の他社/社内開発管理ツールがある場合にも、WebSAMのAPIを通じて連携が図れるため、既存の管理環境を選ばずに導入できるという。

 NECは、これらのパッケージを今後進化させる計画を持っている。例えばサービスカタログ機能を付加し、よりクラウド的な運用ができるようにする予定だ。Openflow技術を採用してQoSと連携した経路選択のできるスイッチを2010年度中に投入するという。

(@IT 三木泉)

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