米オラクルが「仕分け」結果を発表
Javaは? MySQLは? 買収完了でサンの事業はどうなる
2010/01/28
サンの買収を完了したオラクルは、サンがこれまで展開してきた個々の製品や技術をどうしていくのか。今後の戦略について、1月27日に米オラクルがカンファレンスを開いたことは別記事に紹介した。以下では、このカンファレンスにおけるオラクル幹部の発言から、製品や技術の今後に関する言及をピックアップしてお届けする。
ソフトウェア
ソフトウェア戦略担当のトマス・クリアン(Thomas Kurian)氏は、Javaは最も人気の高い開発言語」とし、今後このプログラミングモデルを新たなアプリケーション開発環境にも広げていくという。一方、Javaプラットフォームのシンプル化を進めたいとする。Java開発者コミュニティの活性化もテーマの1つだ。
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次回の米国JavaOneは9月にサンフランシスコで開催される。Oracle OpenWorldと同時開催だ。また、JavaOneはブラジル、ロシア、インド、中国での開催も予定しているという。
Java SE 7については迅速なリリースを約束。HotSpotおよびJRockitはどちらも重要なJVMとし、それぞれの持つ機能を相互に移植するという。ハイパーバイザ上でのネイティブな実行、ガベージコレクション機能の強化も進める。
Javaアプリケーションサーバについては、GlassfishとWebLogic Serverを明確に差別化していく。GlassfishはJava EEの参照実装としての役割を継続。ディストリビューションやサポートはこれまでの手法を継続。WebLogic Serverは今後もエンタープライズ・アプリケーション向けアプリケーションサーバとして推進していく。
![GlassfishとWebLogic Serverを明確に差別化](sun02.jpg)
Sun Oracle Database Machineは、フラッシュメモリによるライトバックキャッシュをはじめ、データベースに特化した機能を追加していく。また、今後はオラクルのあらゆるアプリケーションを載せ、これらを高いパフォーマンスで実行できる製品として推進する。
開発ツールでは、NetBeansとOracle JDeveloperに重複が生じる。NetBeansは軽量IDEとして、Java EE6、Java ME、スクリプティングに特化したものとしていく。JDeveloperは今後もオラクルの主力開発ツールとして、Oracle Fusionをはじめとするアプリケーションの開発作業を支える存在であり続ける。Eclipseへの貢献も継続していくという。
MySQLはオラクルのオープンソース事業部門の管理下に入る。サンから引き継ぐ形で専門の販売部隊と開発部隊を当てる。製品面では、Enterprise Manager、Secure Backup、Audit VaultなどのツールをOracle Databaseと共通化することで、両製品を併用する顧客を支援するという。
OpenOfficeは独立した事業部門として、開発やサポートを継続する。Cloud Officeの開発にも変更はないという。今後は企業に対する導入促進活動を強化する。
OSについては、LinuxとSolarisの双方を推進し、どちらについてもハードウェアとの最適化を図っていく。SolarisはミッションクリティカルOSとして位置付け、投資を強化する。セキュリティレベルをさらに強化、ZFSの信頼性や管理性を向上するとともに、Dtraceなどによる監視データを活用し、サービス性を向上する。アプリケーションの停止を伴わないハードウェア/ソフトウェアの障害復旧機能も強化する。
仮想化についても、サンの持つすべての技術を引き継ぐという。
OSおよび仮想化戦略担当のエドワード・スクリーヴェン(Edward Screven)氏は、「仮想化は複雑化の要因になる。アプリケーションからディスクまですべてのレイヤにわたり1つのサポートを提供できるのが当社の強みだ。ヴイエムウェアはポイントプロダクトの会社でしかない」と話した。
x86サーバ用のハイパーバイザはXenをベースとするOracle VM、そしてSPARC CMTサーバにはSolarisのLogical Domains(ldoms)を適用していく。現在Oracle VMの管理ツールとして提供しているOracle VM Managerから、双方の環境を統合管理できるようにするという。Solaris Container、Dynamic Domainsは、エンタープライズ向けとして今後も提供していく。
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現在Oracle VM環境用に提供しているOracle VM Template(仮想アプライアンス)を、Solaris上でも動かせるようにするという。
デスクトップ仮想化では、開発者向けのサンドボックスとしてVM VirtualBoxを引き継ぐ。サンの提供してきたVDIやSun Rayも継続して提供していくという。
ハードウェア
ハードウェアについては、まずアプリケーション、ネットワーク製品との連携を進め、次にアプリケーション・パフォーマンスに焦点を当てた改善を進めていくという。
サーバ・ハードウェアではSPARCシステムをさらに強化していく。また、x64のクラスタシステムに開発努力を集中させるという。コモディティ化は避け、付加価値の高い形で売っていきたいという。
UltraSPARCでは4つのプロセッサの開発が進んでいる。また、富士通と共同開発のSPARC64については、SPARC64-VIIに続き、12〜15カ月後に新たなプロセッサを投入する。3世代にわたるバイナリ互換性で、顧客の投資を保護していくという。
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ストレージについても、アプリケーションとの統合度を高めていく。Sun Storage 7000は今後のすべてのストレージ事業におけるプラットフォームとして位置付ける。StorageTekブランドのテープドライブ製品についても、投資を強化するという。フラッシュメモリ技術は、ソフトウェアとハードウェアの両面でさらに投資していくとしている。
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