ハイブリッドなクラウド実現へ一歩
米F5ネットワークス、2月中にBIG-IPのソフトウェア版を発表へ
2010/02/03
F5ネットワークスは2月3日にBIG-IPの新製品と新機能を国内発表したが、@ITは同社が2月中旬に、米国でクラウド対応の新製品を発表するという情報を独自に得た。
その新製品とは、BIG-IPの仮想アプライアンス版だ。BIG-IPでは、ハードウェアとの組み合わせで負荷分散やSSL高速化などの機能を提供してきた。しかし、今後はユーザー企業が社内クラウド環境と社外のクラウドサービスを連係して、あるいは統合的に利用するようになってくると、双方にまたがって統合管理できるアプリケーションデリバリの仕組みが求められるようになってくる。
そこでBIG-IPを、データセンター事業者のIaaS環境でユーザー自身が仮想マシンとして動かし、それを自社拠点で稼働しているBIG-IPと接続すれば、双方にまたがる仮想データセンターが構築できる。つまりデータセンターにおけるユーザー企業の仮想マシン群とユーザー企業拠点とを、SSL-VPNで接続できるし、双方にまたがるトラフィックのリダイレクトも可能になる。そしてこれらの設定をユーザー企業自身が自由に行えるというのがポイントだ。
BIG-IPを仮想アプライアンスとして提供することは、同社のビジネスモデルにどのような影響を与えることになるのか。米F5ネットワークスのプロダクトマネジメント&マーケティング担当副社長であるエリック・ギーサ(Erik Giesa)氏は、従来どおり販売パートナー経由で提供すると話す。「直販することはない」(ギーサ氏)。
ただし今後、クラウドサービス事業者がBIG-IPの仮想アプライアンスを自社のサービスカタログに含め、月額課金などの方法で提供することは考えられる。こうした提供形態に対応するサービスプロバイダ向けライセンスプログラムについては、今後整備していくという。
ソフトウェア版ではハードウェア一体型のBIG-IPに匹敵するパフォーマンスを得ることはできない。したがって、BIG-IPの仮想アプライアンスは、あくまでも少数のサーバ群を管理するローエンド版という位置付けになるという。
現在のハードウェア一体型のBIG-IPを採用しているデータセンター事業者やISPは多いが、これを活用して複数のユーザー企業に対し、VPNやトラフィック・リダイレクションを提供することも可能だ。「(BIG-IPを共用しながら、)ユーザー企業はそれぞれ、ほかのユーザー企業には見えない形で、自社のポリシーを適用することができる」
F5ネットワークスは、データセンター間でVMware vSphere 4におけるvMotionの長距離伝送を高速化できる機能をすでに提供している。一連の動きは、社外と社内のクラウドを結び付けるハイブリッドなクラウドの普及に影響を与える可能性がある。
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