HTML5の実力引き出す好例が話題に

SketchPadを見ずしてHTML5を語るなかれ

2010/02/10

 鳴り物入りで発表されたアップルのタブレット型デバイス「iPad」がFlash非対応であったため、Flashを巡る論争がホットだ。iPad発表直後の1月29日にはアドビの幹部が「iPadユーザーは多くのWebコンテンツにアクセスできない」と批判。一方、アップルのスティーブ・ジョブズCEOは、FlashはバギーでMacがクラッシュする大きな原因になっているから採用しないと語ったと伝えられている。「Flashなんて将来誰も使わなくなる。世界はHTML5に向かって動いている」とも言ったという。

 有力ブロガーで元マイクロソフト社員のロバート・スコーブル氏が書いた「Flashは生き残れるのか」と題するエントリには200を超えるコメントがつき、激論となるなど多様な論点が噴出している。根底にある論点は、

  • HTML5にはFlashを置き換えるポテンシャルがあるか
  • Web体験にブラウザ以外の異質なプラグインが必須である状態のほうこそ、おかしいのではないか

という2点ではないかと思う。私は特に後者が重要な論点だと思っている。アドビは2008年5月からオープン・スクリーン・プロジェクトと名付けた取り組みを継続していて、Flash関連技術をオープンにしていくとしているが、現実問題として、Flashは限りなくプロプライエタリに近い技術にとどまっている(OSSのFlash実装を試してみれば分かるが、ほとんど使い物にならない)。

 ともあれ、そんな論争が続く中、「Sketchpad」と名付けられたHTML5ベースのペイントツールが話題を呼んでいる。2009年の10月末からデモンストレーション用のページを公開しているが、まだご覧になっていない読者がいれば、ぜひ見てみてほしい。Canvas対応のWebブラウザなら動作するはずだが、以下に簡単なデモ動画を載せておく。JavaScriptで実装されたウィンドウライブラリが非常にスムーズに動作していることが分かる。なお、ソースコードを見るとIECanvasを使ってIEにも対応しているように見えるが、動作は確認できなかった。

sketch.png HTML5のCanvasタグとJavaScriptだけでベクターグラフィックスのペイントツールを実装した「SketchPad」(クリックで拡大)

 技術的に見て「Flashで実現可能なことがすべてHTML5でも可能」ということはないのは自明で、この点ではすべてのFlashは置き換え不能だ。しかし、動画にせよ、Flashアニメーションにせよ、UI作りにしろ、大部分はもはやHTML5で十分だということもまた、SketchPadを見れば明らかだ。

(@IT 西村賢)

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