シンプルなアプリで成功事例が登場

個人開発のAndroidアプリで月収116万円に

2010/03/02

 iPhoneアプリがゴールドラッシュの様相を呈した理由には、開発プラットフォーム自体の魅力のほかに、個人開発者で一攫千金を実現した例が次々と報じられたこともあるだろう。iPhoneに続いて、Androidでもそうした例が出てきたようだ。

 「Android Developer Challenge 2」で3位に入賞したこともある「Car Locator」の作者、Edward Kim氏は3月1日付けのブログで、自身の成功事例を詳細に紹介している。

android01.png Edward Kim氏が公開した売り上げ推移グラフ

 Car Locatorはクルマを駐車した場所で、その場所をAndroid端末に記憶させ、後でクルマを探すときに、どこに停めたかがすぐに分かるようにするアプリ。GPSや方位磁石を使ったナビゲーション、レーダービュー、マップビューができるほか、パーキングメーターの時間警告機能もあるようだ。経度緯度ではなく何階に停めたかが分からないとダメ、という都市部のユーザーにはちょっと分かりにくい話だが、アメリカでは自分のクルマを探してブロック単位でうろついた経験がある人が多いのかもしれない。

 Kim氏がCar Locatorをリリースしたのは5カ月前で、有料アプリ登録が可能になる前だった。個人的なプロジェクトとして開始したものだったが、無償版と合わせて1.99ドルの有償版を提供するようになってから徐々に売り上げが伸び、3.99ドルに値上げしたことなどもあって、直近では1カ月で1万3000ドル(約116万円)の売り上げを記録するようになっているという。Kim氏のブログから、いくつか数字を拾い出してみると以下の通り。

  • Kim氏にとって2本目のAndroidアプリ
  • 総ダウンロード数は7万件
  • そのうち有償版は6590件
  • 有償版の「トラベル」分野で第4位になるなど順位はコンスタントに上昇
  • マーケティング的なことは何もしていない
  • 最初の2カ月は1日5、6ドルの売り上げ
  • その後、1日平均80〜100ドルだった売り上げは、おすすめアプリに選ばれた後には1日平均435ドルに跳ね上がった
  • バレンタインデーに最高売り上げ772ドルを記録
  • 価格を1.99ドルから3.99ドルに上げても、購入者の減少数は半分よりはるかに少なかった
  • Twitter検索ですぐにクラックされた無償のCar Locatorが見つかることから、海賊版問題が頭をもたげつつある

 Kim氏の指摘で興味深いのは、iPhoneのAppStoreとの比較だ。iPhoneではトップに位置するアプリで1日に数千ドル(数十万円)をかせぐことができる一方、Androidマーケットではおすすめアプリに選ばれても1日400ドル程度。しかし、Androidマーケットではこのリストをランダムにシャッフルしているようで、Kim氏は自分のアプリが実際におすすめとしてリストされていることを目にすることがないほどだという。つまり、iPhoneでは運か実力かは別としてトップに儲けが集中する構造であるのに対して、アプリを回転させているAndroidマーケットには、より多くのアプリ開発者にチャンスがあるかもしれない、ということだろう。

 Kim氏は、これまでにも定期的に売り上げを報告していて、そのたびにAndroidマーケットからの収入に満足していると書いている。Kim氏は自分がラッキーだったとも書く一方で、「もし今までにもAndroid開発を検討していたのなら、思い切って始めてみることをおすすめする。個人開発者には理想的なプラットフォームだと確信している」と書いている。

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(@IT 西村賢)

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