互換性問題に苦慮も

社内でWindows 7への移行進めるインテル

2010/03/03

 米インテルは社内システムをWindows 7と64ビットコンピューティングに移行させる計画を長年温めてきたが、インテルのエンジニアが2月24日、同社のOpen Port IT Communityブログに投稿した長文コメントによると、この計画の実現には大変な労力が必要とされるようだ。

 インテルは2009年10月にリリースされたWindows 7をセキュアかつバグの少ない方法で社内に展開すべく、マイクロソフトの開発者支援プログラムTAP(Technology Adopter Program)を通じて、同社とパートナー関係にある。両社はWindows 7リリースの何カ月も前から協力し、新OSの処理能力とバッテリー駆動時間が1つ前のバージョンであるWindows Vistaと比べていかに優れているかをアピールしてきた。2008年、インテルがWindows Vistaの社内導入を見送るとの決定を下したことはよく知られた話だ。

 その後、2009年7月のインテル Technology Summitにおいて、インテルの広報担当者はeWEEKの取材に応じ、同社がすでにWindows 7の社内導入に向けて取り組みを進めていることを明らかにしている。

 導入は計画どおりに進んでいるようだが、インテルの上級システムプログラマー、ロイ・ウブリー氏はブログにコメントを投稿し、「Windows 7とアプリケーションの互換性の問題がまだ今後克服すべき大きな課題として残っている」と述べている。

 同氏によると、最大の問題はユーザーアカウント制御(UAC)に関するものだという。おそらくUACが原因で、ユーザーに警告を出さないようになっているアプリケーションがエラーメッセージなしにシャットダウンしてしまうというのだ。この問題について、マイクロソフトはユーザーにアイコンを右クリックして「Run as Administrator(管理者として実行)」を選択してもらい、アプリケーションをフル管理者権限で実行できるようにするという方法で対処したという。

 またWindows 7への移行の一環として64ビットコンピューティングにアップグレードするというインテルの決定に伴い、さらに別の問題も生じているようだ。

 ウブリー氏はブログで次のように述べている。「ほかにも、64ビットコンピューティングへの移行に伴い、アプリケーションの互換性を巡る重大な問題がいくつか発生している。最大の問題は、16ビットのアプリケーションがもはやサポートされないという点だ。それほど大きな問題には見えないかもしれないが、多くのレガシーアプリケーションは今でも、当社のように古いOSのサポートを必要とする環境に存在している。その上、多くのアプリケーションは16ビットのインストーラでパッケージングされている」

 さらにインテルは、Internet Explorer(IE)8の使用に伴う問題にも直面している。「IE8にはIE7の互換モードがあるため、ある程度、問題は解消されるが、中にはIE6を必要とするアプリケーションもある。こうした問題にも対処しなければならない。ほかにもOffice Web ComponentやIEプラグイン、Javaのバージョンなどに関連した問題が残っている」とウブリー氏。

 「つまりこれがどういうことかと言うと、Windows 7のアプリケーション実行環境を整えるためには相当の労力をつぎ込む必要があるということだ」と同氏。ただし同氏は太字で追記のコメントを掲載し、次のようにも述べている。「どんな問題があるにせよ、社内ではWindows 7への移行が着々と進んでおり、完ぺきな成功を期待する当社とマイクロソフトの気持ちに何ら変わりはない」

 インテルはWindows 7への移行によって、向こう3年間で1100万ドルの経費を削減できると見込んでいる。

原文へのリンク

(eWEEK Nicholas Kolakowski)

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