OS統合型ハイパーバイザでメリットを強調
仮想化環境でもアプリ互換性を保証、レッドハット
2010/03/09
ヴイエムウェア、マイクロソフトなどに続き、レッドハットが仮想化製品のポートフォリオを充実させつつある。2008年9月に同社はQumranetを買収。QumranetはLinuxカーネルの一部として開発されているKVMプロジェクトをリードする部隊を抱えていて、レッドハットはQumranetが持つ仮想化関連製品を順次、Red Hat Linuxブランドの元に統合しつつある。これまでに、
- ハイパーバイザ搭載のLinuxサーバ「Red Hat Enterprise Linux 5.4」
- 管理者のLinuxスキルとは無関係に単体のハイパーバイザとして利用できる「Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor」
- 仮想化サーバをGUIで一元管理できる「Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Servers」
の3製品をリリースしている。
これに加えて、いわゆるVDI(Virtualized Desktop Infrastructure:仮想デスクトップインフラ)を実現する「Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Desktops」も、2010年上半期中にリリース予定だ。
元Qumranet社員で、現在レッドハットで仮想化製品の総責任者を務めるNavin R. Thadani氏(仮想化製品担当シニアディレクター)は3月9日に都内で会見を開き、改めて同社の仮想化製品の強みを「コスト」「機能」「互換性」に分けて強調した。
実績で先行するヴイエムウェアと比較して、Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisorの強みはコスト・パフォーマンスという。例えば、「各2ソケット搭載の10ホストで比較した場合、初年度のコストで7倍、3年で比較して3倍のコスト差となり得る」(Thadani氏)。
仮想化製品では後発でありながら、Linuxカーネルと統合されているKVMを使うことで、メモリ管理やNICドライバ周りで先進的な機能を実現していることも、Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisorの強みだという。同一ゲストOSの多用時に特にメリットが大きいメモリ・ページ・シェアリングや、複数NICを束ねて可用性や帯域を上げられるNICボンディング、省電力機能などを備える。カーネルに統合されたセキュリティ機能「SELinux」を使うことで、ホストとゲスト、あるいはゲスト同士を分離できることも、Linuxカーネルと統合された仮想化インフラを使うメリットという。
自社でOS製品を提供していることもレッドハットの強みで、物理サーバ上のRed Hat Enterprise Linuxで稼働するアプリケーションは、必ず仮想環境Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor上でも動くことを「ABI Commitment」という形で保証している。「Webサーバやプリントサーバではなく、ISVのパッケージやミッションクリティカルシステムをサポートしようというときに必要なのはエコシステム。万一、アプリケーションが動かなくてもわれわれは顧客企業、ISVと緊密に協力して問題解決に当たる。このとき、仮想環境ではなく物理サーバ上に環境を再現してください、というお願いをすることはない」(Thadani氏)。
物理サーバ上、仮想化環境上で同一のアプリケーション実行環境を提供することは、プライベートクラウド、パブリッククラウドの双方でメリットがあるという。
製品群が一通り出そろいつつあるレッドハットの仮想化製品だが、今後のバージョンではVDI製品のほか、OVF形式のインポート/エクスポート、VMイメージのコンバート、レポート・エンジン、優先順位付きHAなどを2010年上半期に提供予定。2010年下半期にはライブ・スナップショット、セルフサービスポータル、WebサービスAPI、Linuxコマンドラインスクリプティング、複数レベルの管理権限などの機能を提供予定という。
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