パソナテックが「モバイルLinuxセミナー」開催

Moblin+Maemo+Qtで高い移植性を確保するMeeGo

2010/03/11

 「MeeGoはMoblinの進化系」――パソナテックが3月10日に開催したセミナー「2010年の注目技術に迫る! モバイルLinuxセミナー」において、インテルの下野文久氏(マーケティング本部 ソフトウェアエコシステム・マーケティング統括部長)はこのように語った。

 インテルとノキアは2010年2月、スペインで開催されたMobile World Congress 2010において、それぞれ別個に推進してきたLinuxプラットフォーム「Moblin」と「Maemo」を統合し、新たに「MeeGo」という名称で展開することを明らかにした。MeeGoはLinux Foundation管轄の下、オープンソースプロジェクトとして展開されることになっている。2010年4月末から5月にかけての時期に、これまでMoblin 2.2として開発されてきたものがMeeGo 1.0としてリリースされ、それ以降、半年の周期でアップデートしていく計画だ。

 下野氏は、「MeeGoはスマートフォンだけをターゲットにしたものではなく、次世代ハンドセットやネットブック、車載端末にいたるまで幅広い端末を対称にしている。マルチデバイスに対応しており、いろいろなセグメントでの活用が期待できる」と述べた。

meego01.jpg MeeGoでは、1つのアプリケーションを複数の端末で展開できる(インテルの資料より)

 MeeGoのポイントの1つが、AtomおよびARMの両プロセッサに対応すること。もう1つは、クロスプラットフォームの開発環境「Qt」の存在だ。Qtは、ノキアが買収したTrolltechが開発していた開発環境で、WebKitも統合している。Maemoの資産を引き継ぐMeeGoは「開発者向けに統一した環境をシングルAPIで提供できる」(下野氏)という。

 同氏はQtにより、デスクトップや組み込み機器向けに高い移植性を確保できると説明した。つまり、C++やWebアプリケーションに加え、UNIXで動作してきたアプリケーション、さらにはSymbianなどほかのプラットフォームで動作するアプリケーションも、MeeGo上で動作させることが可能になるという。

 同時に、Moblinで培ってきたハードウェアへの最適化により、モバイルデバイスでは特に重視される高速なブートが可能なほか、データ接続用コネクションマネージャやテレフォニーフレームワーク、センサーフレームワークといった豊富な機能が利用できることも特徴だと述べた。

meego02.jpg MeeGoのアーキテクチャ(インテルの資料より)

 下野氏は、いったん開発した1つのアプリケーションを複数のデバイスで動作させることができる点がMeeGoのメリットだと述べている。「現在、やや複雑になっているオープンソースソフトウェアの環境をシンプルにする」(同氏)。

 また、Moblinをベースにした組み込み向けLinux「Embedded MIRACLE」を提供しているミラクル・リナックスのEmbedded System開発本部 天野光隆氏は、実際に開発に携わっている立場から、Moblin/MeeGoのメリットについて述べた。

 「まず、標準でAtomに最適化されており、ハードウェアデコードをはじめとするさまざまな快適な環境を利用できる。また、高速な起動も魅力だ」(天野氏)。さらに、個人的な意見であると付け加えながらも、Androidと比べ「GTKやQt、C++などのプログラムはそのまま動く。また、X Windowが完全に使えることもいい。Androidにはフレームバッファがあるが、高画質の動画を再生するとなると、フルのX Window Systemが必要だ」とした。

 ミラクル・リナックスでは現在、Embedded MIRACLEや、アプリケーションも含めた「Embedded MIRACLE MID Edition」をベースにデジタルサイネージ専用端末などの開発を行っている。

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(@IT 高橋睦美)

情報をお寄せください: tokuho@ml.itmedia.co.jp

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