Chromiumチームがブラウザで動くテスト・スイート公開
JavaScript、速度の次は互換性がポイントに
2010/03/12
Chromium開発チームは3月11日、JavaScript処理系の互換性をチェックする「Sputnik」を公開した。Sputnikは、もともと単体のテストスイートとしてオープンソースで公開されていたが、今回新たにブラウザ単体でSputnikを走らせる機能を追加して公開した形だ。自分のWebブラウザの互換性チェックができるほか、開発者は互換性やバグの検証に使えるとしている。
Sputnikは、JavaScriptを標準化した仕様「ECMAScript Language ECMA-262」(日本語訳)に基づいて、5000以上のテスト項目を含むという。
Sputnikにはブラウザ間の互換性を表示する機能もある。テスト項目の非適合数が少ないほど「的の中心」に近くにプロットし、どの程度同一テスト項目で非適合となるかを中心からの方向で示した図は以下の通り。
Windows XP上でテストした結果、もっとも仕様に則った実装をしているのがOpera 10.50ということが分かる(約5000項目中78項目で非適合)。続いてSafari 4(同159)、Chrome 4(同218)、Firefox 3.6(同259)、IE8(同463)となったという。非適合のテスト項目数でいえば、IE8はWebKit系ブラウザの2倍程度だが、非適合の項目に共通したものが多いほど近い距離に配置されているため、WebKit系が近い位置に、IEだけがほかのブラウザから孤立した状態に見えている。
「ECMAScript準拠=Webと高い互換性」という時代に
従来、ブラウザの互換性を検証するテストスイートは、HTMLやCSSを中心とした表示がどの程度仕様に準拠した形で再現できるかをテーマとしてきた。もっとも知名度が高いAcidテストは最新バージョンのAcid3でJavaScriptを使った動的なWebページのテストを行うように進化しつつあったが、Chromiumチームのブログによれば、Sputnikは、このAcid3の系譜に連なるものだという。
過去には、実在のWebサイトとの互換性を保つためには、むしろJavaScript処理系のほうを、仕様と非互換にしなければならないという事情もあった。しかし、ECMAScriptがバージョン5へとアップデートされ、より現実のWebに適合した形となっていることから、Sputnikのようなテストスイートで非適合項目がゼロとなるということが、すなわちWebとの互換性が高いと言えるようになるという。現在、ChromiumチームではSputnikをバージョン5に対応させる作業を行っているという。
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