クラウドソリューションを発表

「自治体業務システムは標準化が不可避」、日立

2010/03/29

 日立製作所は自治体向けのクラウドソリューションを4月1日に提供開始すると発表した。同社はこれまでも自治体向けのASPや共同利用センタ事業を行ってきたが、これを「クラウド」というコンセプトでくくり、改めて推進する。人口20万人以下の小規模自治体が主なターゲットだ。

 「小規模自治体ほど人口1人当たりのコストが高く、最近では頻繁な法改正への対応が難しくなっている。またセキュリティ対策も困難」と日立 情報・ 通信システム社 公共システム事業部 全国公共ソリューション本部 担当本部長 福岡康文氏は背景を説明した。日立では5年後にクラウドへ移行する地方自治体は1000程度と見ており、そのうちほとんどが人口20万人以下の自治体だと予測する。

hitachi01.jpg クラウド利用は人口20万人以下の自治体で進むと見る

 日立はこの市場を獲得するため、自治体向けクラウドソリューション「SUSTINAD」を4月1日に提供開始する。対象業務は、まず自治体の基幹業務といえるようなサービスから提供開始し、電子申請などのサービスに拡大していくという。導入形態は、SaaS型(「SUSTINAD/SaaS」)、共同利用型(「SUSTINAD/Share」)、自治体内でのクラウド運用型(SUSTINAD/Private)。日立はSUSTINAD/SaaSについてのみ、価格の目安を示している。住民記録・外国人登録・印鑑登録サービスを人口5万人規模の自治体が利用する場合で月額48万円など。月額料金は人口規模に比例し、さらに業務内容に応じて変化する。また、初期費用は別途必要となる。当然ながら、既存システムからのデータ移行などでも別途費用が発生する。

hitachi02.jpg 日立の福岡氏(右)と前田氏(左)

 日立では、小規模自治体が仕様を標準に合わせ、SUSTINAD/SaaSを活用することで、システム運用費を大きく節約できるとしている。また、国民健康保険など、独自仕様といっても数パターンに分かれる程度の場合もあり、複数の自治体で同一の仕様によるシステム運用をしたいケースで、SUSTINAD/Shareを提供したいという。

 「この数年法改正が増えている。毎年多くの法改正があり、自治体は独自の仕様にこだわっているとやっていけない。(新しい制度が次々に生まれることは)標準的な方法でやる動機になる」と同社 公共システム事業部 国公共ソリューション本部主管 前田みゆき氏は話した。

hitachi03.jpg SUSTINADが対象とする業務

 日立はSUSTINADで、独自にシステムを導入する場合と比べて導入期間を最大50%短縮できるほか、約30%のコスト低減が可能になるとしている。「コスト低減できた部分を、防災や福祉など、住民に近いサービスに振り分けてほしい」(前田氏)。

 SUSTINADは、日立グループの関連企業が一体となって提供することも大きな特徴となっている。

hitachi04.jpg 日立グループの企業が相互連携により提供する

 また、主にSUSTINAD/SaaSで、地域ITベンダとの連携を図っていくとしている。地域ITベンダが自治体に対し、SUSTINADを自社のサービスとして販売し、 サポートの直接対応をするなどの関係を築きたいという。

 目標は2015年度で300自治体との契約。同年度で売上目標は250億円といい、単純計算では1自治体当たり約9000万円の売り上げになる。日立は自治体市場における現在10数%のシェアを、30%に引き上げたいという。

(@IT 三木泉)

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