Superdome 2はブレードアーキテクチャに進化

日本HP、第2世代Integrityで「安全クラウド」宣言

2010/04/30

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は4月27日、Superdome 2をはじめとする、ミッションクリティカルサーバ製品群「HP Integrity」の第2世代製品群を発表した。「ミッションクリティカル・クラウド」の実現を支援する製品と位置付けている。CPUに最新Itanium(クアッドコアItanium 9300番台)を採用した第2世代Integrityは、信頼性とスケールアップ性能に重点を置いた設計を継承しながら、同社のx86ブレードサーバの技術を持ち込むことでコスト効率を向上、さらにCPU利用権をこれまでより柔軟に利用できる仕組みを追加してクラウド的な利用を容易にした。

 日本HP 代表取締役 社長執行役員の小出信一氏は、国内のRISC-IA64 UNIXサーバ市場で9年連続シェアナンバーワンの実績を基に、第2世代Integrityでミッションクリティカルなシステムとクラウドニーズを結び付けると話した。

hp01.jpg 日本HP 代表取締役 社長執行役員の小出信一氏

 マイクロソフトがWindows Server 2008 R2を最後として、その後の同社サーバOSではItaniumをサポートしないとブログで明らかにし、富士通は自社のサーバで今後採用しないことを明らかにするなど、Itaniumプロセッサに対する逆風は強まっている。しかしインテルとHPの日本法人社長は第2世代HP Integrityの記者発表で、今後Itaniumにはさらなる投資をしていくと宣言した。Itanium陣営からの脱落者が出ることで、HPにとってはこのCPUの戦略性が逆に高まったともいえる。

 第1世代のHP Integrityから、HP-UXでItaniumを生かす機能を組み込んでいた。例えばItaniumのMCA(Machine Check Architecture)と連携するDynamic Processor Resilience(DPR)という機能。MCAによりCPUコアのキャッシュエラーが検出されると、これがHP-UXに伝えられ、ファームウェアに回数が記録される。この回数が特定のしきい値に達すると、該当のプロセッサはHP-UXから自動的に切り離される。切り離しが発生しても、ほかのプロセッサによってアプリケーションの継続的運用は確保される(正確には、PA-RISCプロセッサとHP-UXの組み合わせでもこれは実現されている)。また、Intel Cache Safe Technologyでは、3次キャッシュでECCによって修復できないエラーが発生すると、そのキャッシュラインを無効にすることで運用が継続できるが、新製品の「HP Integrity Superdome 2」では2次キャッシュも同様の保護ができる。

hp02.jpg HP Integrity Superdome 2

 Superdome 2は、Superdomeの後継となる製品ラインで、最大64プロセッサ/256コアまでの構成が可能。ブレードアーキテクチャの採用で(場合によって)設置面積は従来比3分の1となり、消費電力は20%減となった。電源装置や冷却ファンはHP BladeSytem c-Classと同一のものを採用し、開発効率が向上した。ハードウェア設計は大幅に見直された。バックプレーンは配線とコネクタのみで構成されているため、故障率は大幅に低減したという。電源バックプレーンも単なる鉄板になり、ほとんど壊れることがなくなった。HP BladeSystem c-Classのバーチャルコネクト機能も、Superdome 2で利用できるようになった。

 Superdome 2では、ブレードアーキテクチャに総転送速度230Gb/sのクロスバーファブリックを組み合わせている。クロスバーファブリックはセルブレード間、そしてセルブレードとI/Oモジュール間を高速接続し、複数セルブレードにまたがるHP-UXの稼働を可能にしている。いまに始まったことではないが、SuperdomeとHP-UXの組み合わせでは複数のセルボードを組み合わせて1台のサーバ機であるかのように利用できる。データベースなどのスケールアウト型の拡張がしにくいアプリケーションでも、1インスタンスのアプリケーションに複数のセルブレードを割り当てることで、スケールアップ型の拡張を実現する。HPがSuperdome 2をミッションクリティカル・クラウド向け製品と表現する理由の1つはここにある。

CPU利用権は別拠点のサーバ間でも利用可能に

 クラウド向けという点ではiCAPも進化した。iCAPとは第1世代のSuperdomeでも利用できた購入形態で、当座利用しないCPUコアもハードウェアとしては導入しておき、利用する必要が出てきた時に利用権を購入すればいいというもの。利用権は同一筺(きょう)体内で使い回しができる。一時利用権も用意され、突発的なニーズにも効率的に対応できる。

 今回はグローバルiCAPという機能が追加された。これは複数筺体簡でCPU利用権を共用できるというもの。ネットワークでつながってさえいれば、別拠点にあるサーバ同士でも、CPU利用権を移すことができる。例えば災害対策(ディザスタリカバリ、DR)では、災害発生時に本番系サーバから待機系サーバに利用権を移すことができ、待機系サーバのコストを大きく下げることができる。

 4月27日に発表されたHP Integrityサーバには、Superdome 2のほか、ブレード型でHP BladeSystemに搭載できる「HP Integrity BL890c/BL870c/BL860c i2」、ラックマウント型サーバー「HP Integrity rx2800 i2」 、そしてラックマウント型の「HP Integrity rx2800 i2」がある。

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(@IT 三木泉)

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