最適なパスをリアルタイムで算出
クラウドまでの道のりを独自プロトコルで高速化、アカマイ
2010/05/25
アカマイは5月25日、同社の事業に関する説明会を開催した。米アカマイのプロダクトマーケティング担当ディレクターを務めるニール・コーエン氏は、同社のクラウド最適化サービスについて、「クラウドのインフラが手近なところにあるように利用できる」と説明した。
クラウドコンピューティングというと、サーバを集約するデータセンターの部分に注目が集まりがちだ。しかし実際にクラウドを利用する際には、自社との間をどのようにつなぐか、アプリケーションを遅延なく利用できる接続をどう確保するかという問題が浮上してくる。
コーエン氏によると、「最もいい仮定として、シンガポールのようにユーザーと同一の都市にデータセンターがあったとしても、単一のネットワークを介してアクセスできるケースは少なく、大半は3つ以上のネットワークを介してアクセスすることになる」という。それ以外の都市では、影響はもっと大きい。日本のように、太平洋を渡って米国のデータセンターにアクセスするとなればなおさらだ。
これに対しアカマイは、世界70カ国にまたがる950以上のISPにインフラを分散配置し、エンドユーザーに近いところに6万5000台のサーバで構成される「Edge Platform」を構築。このEdge Platformを介して顧客とクラウドサービスを少ないホップ数で結ぶことにより、高速に利用できる環境を整えたという。
「ピアリング契約という経済の論理に従うBGPではなく、パフォーマンスに基づくアカマイ独自のプロトコルによって、リアルタイムに帯域の観点で最適なパス(経路)を見つけ出し、ルーティングしている」(同氏)。加えて、キャッシュなどアプリケーション配信最適化の技術を組み合わせ、パフォーマンスを向上させるという。
この結果、例えばAmazon EC2上のアプリケーションのパフォーマンスは平均で200%向上する(つまり、所要時間が半分になる)という。また、あるSaaSでは、アジア太平洋地域から通常で35秒程度かかっていたレスポンスが、Akamaiのサービスを利用したところ15秒以下に短縮されたという。
クラウド最適化サービスには、セキュリティ向上を支援する側面もある。Edge Platform側にWebアプリケーションファイアウォール(WAF)を分散して実装することにより、マルチテナント環境をアカマイのネットワークエッジ側で保護できるとした。
なおアカマイは同時に、HD動画配信サービス「Akamai HD Network」に、コンテンツの視聴動向を計測するサービス「Akamai HD Media Analytics」を追加したことを発表した。いつ、どのユーザーが、どのコンテンツをどのくらいの時間見ているか、その際の品質はどうだったかといった情報を深く掘り下げて解析するサービスだ。FlashとSilverlight、iPhone向けの動画に対応しており、きめ細かな情報を提供できることが特徴という。
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