「HPCを身近なものに」

デル、組織再編を生かして国内のHPCビジネスを強化

2010/05/25

 デルは、国内におけるハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)関連事業への取り組みを強化する。5月24日に同社が行ったプレスブリーフィングで明らかにした。

 従来デルでは、国内のHPC需要に各地域の営業が対応してきた。しかし最近同社が行った顧客/市場に基づく組織再編により公共事業部門が設立されたことを受け、国内でも高等教育機関および研究機関におけるHPCに主眼を置いた専任部隊を組織することにしたという。当面はこの分野で経験を持つ10人をリクルート。「これまではハードウェア的な対応だったが、これからはシステムとして提供していく」と、デル 執行役員 北アジア地域 公共事業本部 統括本部長の郡信一郎氏は説明した。

 グローバルで見ると、公共事業部門はHPCやヘルスケア、公共機関を対象としており、その年間売上(150億ドル)はデルの全社売上の約4分の1に達する。最近買収した大規模システムインテグレーション/コンサルティング企業のPerot Systemsがヘルスケアと公共機関に強かったため、この2分野におけるビジネスは特に伸びているという。

dell01.jpg デル グローバル公共事業 統括責任者 ポール・ベル氏

 デルのグローバル公共事業 統括責任者であるポール・ベル(Paul Bell)氏は、対象とする研究者や医師などが何をしているのかを理解し、そのニーズに応えるためのソリューションを提供することに努めていると話した。

「学術研究のコンピューティングにおける課題はいつも同じだ。限られた予算で最大のコンピューティング・パワーを提供することにある」(ベル氏)。

 学術研究分野では、基本的には研究者あるいは研究室単位で付与される補助金を活用してITインフラの調達が行われる。しかしこの分野はグローバルなコミュニティでもあり、世界中から教育機関が参加する大規模なプロジェクトも見られると、ベル氏はいう。例えば、欧州合同原子核研究機構(CERN)が世界中の160の大学の参加のもとに進めているATLASプロジェクトの一環として、東京大学の素粒子物理国際研究センターに800台以上のデル製サーバを納めたという。

 国内では最小で4台の規模から、案件を開拓しているという。「当初は規模が小さくても、大きく伸びる可能性がある」(郡氏)。デルは直販でビジネスを展開する利点を生かして、これまで敷居の高かったHPCを、より身近で汎用的なものにしていきたいと同氏は続けた。

 グローバルの社内人的リソースやパートナー企業との提携関係を国内でも活用して、事業を推進していくという。「事業部制になって他社の製品も提供できるようになった」(郡氏)。アプリケーションベンダやアプリケーションプラットフォームベンダ、さらにはこの分野に強いストレージベンダとも積極的に連携し、ビジネスを広げていくと郡氏は話した。

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(@IT 三木泉)

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