位置情報戦争は始まったばかり

静かな火花を散らすfoursquare、グーグル、Facebook

2010/05/27

 「foursquareは、ロケーションベースのソーシャルサービスをめぐる新たな戦いを制したわけではない」――ニューヨークで開催された「TechCrunch Disrupt」イベントにおいて、米グーグル、米Facebookおよび米foursquareの幹部はこう強調した。

 TechCrunchの記者マイケル・アーリントン氏は、グーグルの技術担当副社長ビック・ガンドトラ氏、Facebookの製品管理担当副社長クリス・コックス氏、foursquareのデニス・クローリーCEOに対し、foursquareのソーシャルチェックインサービスはロケーションベースのサービスを巡る戦いを制したのか、と質問を投げかけた。

 「彼らはロケーション分野のYouTubeなのか」とアーリントン氏は付け加えた。これは、グーグルが所有する資産がユーザー作成動画の分野で圧倒的な地位にあることを認めたものでもある。

 友人検索アプリケーションの「Google Latitude」とモバイルソーシャルアプリケーションの「Google Buzz」を提供しているグーグルのガンドトラ氏は、ロケーションベースサービス市場には多数のプレイヤーが登場するだろうと語った。

 「foursquareは素晴らしいサービスを開発し、チェックイン(位置情報登録)機能でエキサイティングなことができることを示したが、この市場はまだ非常に若い」とガンドトラ氏は述べた。「来年にはさまざまな企業から多くの発表があると思う。それはコンシューマーにとって良いことだ」

 例えばグーグルは先週、開発者がグーグルのロケーションデータベースを利用したアプリケーションを作成するための「Google Latitude API」を発表した。同社では、300万人あまりのLatitudeユーザー向けに、家電機器の管理、高速道路情報の確認、クレジットカード不正使用の警告といった機能を提供するアプリケーションを開発者たちが手掛けることを期待している。

 ガンドトラ氏によると、グーグルは今年、Latitudeにエキサイティングな機能強化を施し、この技術の「人気をさらに高める」つもりだという。

 グーグルは2月に、モバイルアプリケーション向けのGoogle Buzzを発表した。スマートフォンユーザーがBuzzに投稿したコメントには、ユーザーの場所と投稿時間に基づくタグが付けられる。アーリントン氏が指摘するように、これは一種のチェックイン機能のようなものだ(ただしグーグルはそう呼んではいない)。

 Buzzではプライバシー問題も起きたが、そのモバイルアプリはチェックイン機能を備えていないとはいえ、グーグルがfoursquareと競争する上で最も有力なプログラムだ。Google LatitudeとGoogle Buzzは、いずれ統合される可能性が高い。

 アーリントン氏の質問に対してコックス氏は、ロケーションサービスは誰か1人が勝者になり、残り全員が敗者になるような分野ではないと述べた。そして「これはさまざまなエクスペリエンスの一部になるような機能だ」と付け加えた。

 伝えられるところによると、Facebookは今月、ロケーションベースのステータス更新機能を自社のユーザー向けに提供する予定だ。同社では、ファストフードチェーンのマクドナルドと共同でアプリケーションを開発中だともいわれている。このアプリケーションは、ユーザーがマクドナルドの店でチェックインすると、その店のお勧め商品が投稿に追加されるというものだ。

 foursquareのクローリー氏も、ロケーションベースサービスの市場には明確な勝者が存在しないことを認めた。同氏はDodgeball在籍中にfoursquareの初期バージョンを同社に売却し、グーグルによるDodgeball買収後にDodgeballを去った。

 「われわれは素晴らしいものを作っている」とクローリー氏は語った。「だがわれわれが勝者だとは思っていない。まだこの市場は非常に若い。2年前を振り返れば、何も面白い動きがなかった」

 さらに同氏によると、foursquareのチェックイン投稿ページに評価・採点機能とゲーム要素を取り入れたことにより、このスペースがより面白いものになったという。foursquareでは1日当たり70万件以上のチェックインがあり、100万人のユーザーの35%がこのアプリケーションを毎日使っている。

 foursquareは、PepsiCo、Starbucks、Bravo、MTVなどの企業と提携している。例えば、foursquareのユーザーがStarbucksの店で5回チェックインすると「バリスタバッジ」がもらえる。

 パネリストらの回答は当たり障りのないものだった。現実には、より多くのユーザーを獲得するために、そしてロケーションサービスを利用しようと考える広告パートナーを奪い合うために、各社の間で死闘が繰り広げられている。

 ガンドトラ氏は先週の「Google I/O」カンファレンスでアップルに対して大胆な発言をして注目を集めたが、奇妙なことに、アーリントン氏はこの件についてガンドトラ氏に説明を求めなかった。

原文へのリンク

(eWEEK Clint Boulton)

情報をお寄せください:

Coding Edge フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

キャリアアップ

- PR -

注目のテーマ

ソリューションFLASH

「ITmedia マーケティング」新着記事

生成AIはGoogle検索をどう変えたのか?(無料eBook)
モダンマーケティングの最新トレンドを無料eBookにまとめてお届けするこのシリーズ。今回...

気になる「ATTオプトイン率」は今どのくらい? 日本のモバイルアプリ市場の現状
AdjustとSensor Towerが共同で発表した「モバイルアプリトレンドレポート 2024 :日本版...

シニアの生活意識 「生まれ変わっても今の配偶者と結婚したい」において男女で20ポイント以上の差
ソニー生命が実施した「シニアの生活意識調査2024」の結果です。