ノベルのPlateSpin Forgeと大容量ストレージを利用

DRサービスを安価に実現するソリューションが発表

2010/06/02

 データセンター/クラウドサービス事業者が簡単・安価なディザスタリカバリ(災害対策)サービスを始められるソリューションを、クロス・ヘッドが6月1日に発表した。

 新ソリューション「Smart System Recovery Platform」(SSRP)は、ノベルのバックアップアプライアンス「PlateSpin Forge」に、クロス・ヘッドの子会社であるエヌ・シー・エル・コミュニケーションが国内ディストリビュータとなっている米ネクサン・テクノロジーズのストレージ「SATABeast」あるいは「SATABoy」を組み合わせたもの。SATABeastは4Uサイズにディスクドライブ42基で最大84TBの容量を実現する、SATABoyは最大14基で最大容量は14TB。PlateSpin Forge単体ではバックアップデータ容量が2.5TBに限られるが、ネクサンのストレージを接続することでこれを大きく拡張でき、複数ユーザー企業を対象としたDRサービスを効率的に行えるようになるという。

 PlateSpin Forgeは、もともと従来の高価なDRソリューションでは対象とすることができなかったようなサーバの保護を、サーバ仮想化技術を利用して簡単・安価に実現することを目的として発売された製品だ。

 PlateSpin Forgeでは、保護対象のサーバは物理サーバでも仮想マシンでもよい。PlateSpin Forge側では仮想マシンとしてレプリカが作成され、ほぼリアルタイムで複製が継続的に行われる。バックアップデータは差分だけがPlateSpin Forgeに送られるため、WAN経由でも帯域を大量に消費することはないという。保護対象のサーバに障害が発生した場合、PlateSpin Forge上の仮想マシンを代わりに立ち上げて、即座にバックアップシステムとして稼働することができる。元サーバが復旧すれば、PlateSpin Forge上で稼働しているバックアップシステムから、最新のデータを戻していわゆるフェイルバックをすることが可能だ。

platespin01.jpg PlateSpin ForgeによるDRでは、保護対象のサーバから待機拠点に直接バックアップができる。今回のソリューションでは待機側のforgeの後ろにネクサンのストレージが接続される構成になる

 DRでは、本番拠点と待機拠点でそれぞれ同一のストレージ製品を配置し、保護対象サーバのスナップショットをストレージ間で遠隔複製する仕組みが一部で導入されている。しかし、この場合同一機種のストレージを本番側と待機側で用意し、対向で構成しなければならない。複製の設定や構成も複雑で、ある程度の専門知識を持ったエンジニアが必要だ。データセンター事業者にとっても、これでは敷居の低いDRサービスを提供しにくいと、クロス・ヘッド 常務 ソリューション事業部長の関根尚氏は説明する。

 一方PlateSpin Forgeでは、ユーザー企業側にストレージなどの機器は不要だ。事業者側にPlateSpin Forgeを置けば、これに対して保護対象サーバから直接複製ができる。「もともとPlateSpin Forgeは簡単なのが大きな特徴。顧客に一から紹介し、ゆっくり説明しながら設定し、フェイルオーバやフェイルバックを行うまで、2時間もあれば十分」(ノベル 営業本部 プロダクト営業グループ マネージャーの寺元秀夫氏)という。

 事業者は、設定や利用が簡単で、導入がしやすいPlateSpin Forgeを、低価格で大容量バックアップストレージが構成できるネクサンの製品と組み合わせ、顧客ごとにLUNを設定するなどのセキュリティ対策を講じれば、これまでのDRで対象として考えられていなかったようなサーバを相手にしたビジネスの可能性が拓ける、と関根氏はいう。

 新ソリューションの価格は個別見積もり。クロス・ヘッドは初年度の販売目標を5000万円としている。

(@IT 三木泉)

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