さらなる高速化やモバイルルータの拡充も

UQ、WiMAXサービスエリアを拡大、1万5000基地局目指す

2010/06/08

 WiMAXを用いたインターネット接続サービス「UQ WiMAX」を提供するUQコミュニケーションズは6月7日、2010年度末までに加入者80万人を目指す方針を明らかにした。この目標に向け、基地局を1万5000局に増やしサービスエリアを拡大する。また7月1日にサービス開始から1周年を迎えることを機に、WiMAXデータ通信カードを半額で提供するキャンペーンを開始する。

 802.16e標準に基づくWiMAXは、理論上は上り10Mbps、下り40Mbpsと、3G通信やWi-Fiに比べ非常な高速な通信を実現することが特徴だ。だが一方で、UQコミュニケーションズのサービス開始後も、サービスエリアが限定されることがネックとされてきた。6月14日にUQコミュニケーションズの新社長に就任予定の野坂章雄氏は、「まだ基地局が少ないという声に応え、当初の予定を1年から1年半前倒しして、年度末までに8000局を増設し、計1万5000局を整備する」と述べた。特に、首都圏の通勤路線などを重点的にカバーする方針だ。

uqwimax01.jpg UQコミュニケーションズの代表取締役社長 田中孝司氏(左)と野坂章雄新社長(右)
uqwimax02.jpg ソフトアンドハードのモバイルルータ「Egg iWWR-1000J」

 合わせて、実効速度の高速化も進める。仕様上は40Mbpsが出るとされているWiMAXだが、2010年3月時点での実効速度は下り20Mbpsにとどまっていた。これを、8月には30Mbps、12月には40Mbpsにまで高める計画だ。上りについても、64QAMの適用で最大15Mbpsにまでスピードアップする。

 同社ネットワーク技術部長の要海敏和氏によると、複数のアンテナでデータを処理するマルチユーザーMIMO(MU-MIMO)の適用に加え、伝送効率の高い変調方式である64QAMを適用することによって速度の向上を実現する。ただ、スピードがある程度以上になると、エラー制御などの面で安定して高速な通信を提供するのが難しい。そこで、ファームウェアのバージョンアップによって誤り訂正方式やパラメータなどにチューニングを加えるとともに、新たなチップを使うことにより、安定して30Mbps以上の速度を出せる仕組みとする計画だ。さらに先の2012年には、次世代WiMAX規格である802.16mの導入によって、下り最大330Mbpsという、イーサネット以上の高速通信を可能にするという。

 高速通信という意味では携帯電話キャリアによるLTEの採用も進んでいるが、代表取締役社長を務める田中孝司氏は、デバイスとユーザーの増加に伴い、モバイルトラフィックはいずれ「あふれる」と指摘。「WiMAXなどいくつかの無線システムを使っていかないと、あふれていくトラフィックを収容できないのではないか」と述べた。

 野坂氏は、「固定回線の高速性を持ち出せるようにしたのがWiMAX。また、携帯電話とは違って元々音声をやっていないのでそこを生かしていく」と、携帯電話との違いを強調した。ただ、SIPベースで音声通話をアプリケーションの1つとして載せていく可能性もあるという。

 同社はさらに、パートナーを介してWiMAX対応のPCやモバイルルータの充実を図る。特に、Wi-Fi対応機器からWiMAXを介してインターネットアクセスを可能にするモバイルルータについては「WiMAX Speed Wi-Fi」というブランド名を冠し、市場への普及を図る考えだ。これに合わせ、シンセイコーポレーションが「URoad- 7000」、ソフトアンドハードが「Egg iWWR-1000J」という持ち歩き型のモバイルルータを発表した。また、据え置きタイプでは、NECアクセステクニカが「AtermWM3400RN」、アイ・オー・データ機器が「WMX- GW02A-BK」をそれぞれ新発売する。

(@IT 高橋睦美)

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