富士通は全世界でソリューションを展開
シマンテックのスケールアウトNASソフトと富士通の「危機感」
2010/06/24
シマンテックは6月23日、スケールアウトNAS構築用ソフトウェア「Symantec FileStore」を国内発表した。OEM供給に限定する。ユーザー企業にこのソフトウェアを販売することはない。OEM供給の第1弾として、富士通が同社のサーバおよびストレージと組み合わせたソリューションを、7月26日に出荷開始するという。
FileStoreはシマンテックの既存製品「Veritas Cluster File System」「Veritas Cluster Volume Manager」「Veritas Cluster Server」をベースとしたソフトウェア。NFS、CIFS、FTPでファイルサービスを実行できる。複数のサーバ機にインストールし、さらにその背後にストレージ群SCSI、SAS、iSCSIあるいはファイバチャネルで接続して構成することで、単一のファイルシステムを備えたNASとして見せることができる。FileStoreをインストールしたノード、およびストレージは無停止で追加でき、パフォーマンスと容量を拡張できる。
FileStoreは最大2PBまでの容量に対応し、ノードは最大16までの構成が可能。動的なストレージ階層化機能、レプリケーション機能を備える。「Symantec NetBackup」のバックアップクライアント、「Symantec Endpoint Protection」のウイルス対策クライアントがインストール済みで、別途ライセンスを購入することによって有効化できる。
富士通はFileStoreを、サーバ機「PRIMERGY RX300 S6」、ストレージとしてはエントリクラスの「ETERNUS DX60/80/90」、ミッドレンジの「ETERNUS DX400 series」と組み合わせ、ソリューションとして販売する。ディスクドライブは自由に選択できるようにする。富士通はこのソリューションを、国内だけでなく全世界的に展開していくという。
富士通はNASとしてネットアップの製品を販売してきた。しかし今回のソリューションとバッティングすることはないと、富士通ストレージシステム事業本部 本部長代理 松島等氏は話した。スケールアウトNASには、低コストで小さく始め、ニーズに応じて拡大していけるメリットがある。これを採用するユーザーは、これまでのNASとは異なるのだという。
FileStoreのような製品をサーバの担当事業部ではなく、ストレージ事業本部で採用した背景について、松島氏は「ストレージ事業としての危機感がある」と話した。高い伸びが期待されるスケールアウトNASの市場には、汎用IAサーバとJBOD(ハードディスクドライブ群)、ストレージクラスタリングソフトウェアの組み合わせで参入してくるベンダも見られ、いわば「仁義なき戦い」になりつつある。スケールアウトNASに対するユーザーニーズが広がる以上、ストレージを専門にやってきた事業部としても積極的に対応していく必要があるというのだ。
しかし、FileStoreを使うかぎり、フル機能のブロックストレージとしてETERNUSシリーズが備えているさまざまな機能を生かすことができないのではないか。これについて松島氏は「VMwareも以前はストレージの機能を生かせないといわれていたが、状況は変わってきた」と答えた。今後FileStoreのクラスタファイルシステムとの統合・連携を進めることで、ETERNUSの機能を生かせるようにしていくのだという。
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