国内ビジネスではInfiniBandにも注力
“FCも統合データセンターネットワークの一部”、QLogic
2010/07/08
QLogicは7月6日、都内で同社の戦略と日本における事業体制の強化について説明した。QLogicの米国本社は6月下旬に、イーサネット/FCoEに加えてファイバチャネルにネイティブ対応したスイッチASICを発表した。同社はこれを1つの武器として、今後成長が予想される統合データセンター・ネットワーキング市場における地歩を固めようとしている。
QLogicはファイバチャネル、InfiniBand、統合ネットワーク(CNA)のアダプタを主力商品とする企業。特にファイバチャネル・アダプタでは50%以上のマーケットシェアを獲得していると同社はいう。一方で、これらのプロトコルを処理するASICやスイッチの展開を進めている。
今後もファイバチャネル、InfiniBand、イーサネットのそれぞれで高速化を進めるが、新しい成長分野として同社が期待するのはストレージネットワーキングとIPネットワーキングを統合するデータセンター・ネットワーキングの世界。CNAについては早期に製品を提供開始したが、特にファイバチャネル/FCoEのスイッチへの進出により、ビジネスチャンスが大きく広がっているという。
同社が「Bullet」と呼ぶ新スイッチASICは、イーサネット/FCoEとファイバチャネルをワンチップにおさめ、同時に処理できるようにしたもの。「これにより、ユーザー企業は(接続技術間を)いつでも移行できるという選択肢を手にすることができる。「イーサネットポート数やファイバチャネルポート数による市場調査は、今後あまり意味をなさなくなっていくだろう。何の用途で使っているか、われわれには分からなくなるからだ」と、米QLogicのコーポレートコミュニケーション担当シニアディレクターであるスティーブ・ジヴァニック(Steve Zivanic)氏は話した。「このASICをスイッチ、サーバ、ストレージに入れられる。データセンターのOSになることができる」という。
この場合、「サーバに入る」ものとしてはブレードサーバ組み込み用のイーサネット/ファイバチャネル統合スイッチブレードを意味している。同社のASICを使えば、ブレードサーバはイーサネットスイッチモジュールとファイバチャネルスイッチモジュールを別個に搭載する必要がなくなる。ただし、現在の統合ネットワークアダプタ(CNA)へのファイバチャネル処理機能を統合する可能性について、シヴァニック氏は検討していると答えるにとどまった。
QLogicの売り上げの約75%はOEMビジネスによるもので、今後もこのスタンスを変えるつもりはないと同社は強調する。Bulletチップについても米ヒューレット・パッカードのVirtualConnect FlexFabricモジュールにおける採用が決まっている。QLogicはファイバチャネルやFCoEのアダプタやスイッチ製品を自社ブランドでも販売しているが、最新の技術を投入したコンポーネントはOEM供給する一方、ボリュームゾーンに入った技術は自社でも売るという役割分担を維持していくという。
ジヴァニック氏は、IPネットワーク製品ベンダのファウンドリネットワークスを買収したブロケードを批判する。ブロケードはサーバベンダに対し、ファイバチャネル製品を供給して大きな売り上げを上げているにもかかわらず、これらサーバベンダのネットワーク事業と競合するようなことをしている、という。QLogicはOEMを最優先にし、自社の顧客と競合するようなことはしないとしている。
QLogicは日本における事業の強化を進めている。日本事務所代表にはサン・マイクロシステムズ、AMDなどでの経験を持つ安田稔氏が就任。AMDでサーバ向け製品のプロダクトマネージャを務めていた山野洋幸氏など、人員を積極的に増やしている。安田氏によると、日本における現在の最大のビジネスはシリコン製品。今後はファイバチャネル・アダプタでエミュレックス、ファイバチャネルスイッチでブロケードからシェアを奪う活動を進めていくという。安田氏が国内でさらに注目するのはInfiniBandのビジネス。HPCは教育・研究機関だけでなく、一般企業にも広がりを見せている。独特な技術要件が多く、専門の技術サポート要員を強化することで、このビジネスを広げていきたいとしている。
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