UNIXシステムからの移行を加速
RHEL6は「大規模環境向けに最適化」
2010/07/15
レッドハットは7月16日、2010年内にリリースを予定している企業向けLinuxディストリビューションの次期バージョン「Red Hat Enterprise Linux 6」(RHEL6)に関する説明会を開催した。米レッドハットの副社長兼プラットフォーム事業部門代表のジム・トットン(Jim Totton)氏は、RHEL6は、エンタープライズIT戦略の中で重要な位置を占める製品であることを強調した。
RHEL6は、大規模/エンタープライズ環境への適合を目指した次期Linuxディストリビューションだ。バージョン5に比べ、サポートするCPU数は64個から4096個に、またメモリは64TBから128TBにと、大幅に拡張されれる予定で、6月末にβ2が登場している。
トットン氏はRHEL6の主要な特徴の1つを「さまざまな最適化を図っていることだ」と述べた。大規模環境で必要とされる拡張性や信頼性、セキュリティといった要件をカバーするほか、電源管理機能、インテルのNehalemなど最新のハードウェアへの対応、負荷に応じたリソースコントロールなどが追加されるという。
また、バージョン5.4から搭載したKVMを軸とする仮想化機能も強みになると述べた。「仮想化戦略においても、パフォーマンスは重要な要素。その点KVMはカーネルベースで組み込まれているため、RHEL6側でのハードウェアサポートやセキュリティ、パフォーマンスといった要素がそのまま、KVM環境にも反映される」(トットン氏)。
レッドハットはすでに、仮想化環境の管理ツール「Red Hat Enterprise Virtualization Manager for Servers」を提供しているほか、6月のイベントで「Red Hat Cloud Foundations」を発表している。これらを活用することで、プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方にまたがり同じ機能を提供し、動的なプロビジョニングを行うなど、1つの基盤を提供できるとトットン氏は述べた。
さらに、ストレージやネットワーク、ファイルシステムやクラスタといったさまざまな分野におけるイノベーションの取り込みも図る。1つの例として、高速なネットワーク接続を可能にする10ギガビットイーサネットのサポートなどが挙げられる。加えて、オープンソースソフトウェアコミュニティが開発してきた成果を取り込む一方で、既存環境からの移行を支援すべく、ABI(Application Binary Interfaces)を通じて互換性を保証していくという。
レッドハットではRHEL6のリリースにより、特に「UNIXやRISC、メインフレームといった環境から、Linuxとコモディティ化したハードウェアの組み合わせへの移行を促進したい」(トットン氏)という。一方で、2月に仮想化環境の相互運用性拡大に関して合意を結んだマイクロソフトとは、Sambaの拡張を通じてActive Directoryをサポートするなど、相互接続性確保を進め、企業/データセンターにおける共存関係を狙う。
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