大規模環境における拡張性も向上
VMware vSphereが新バージョン、下位製品でもvMotionが利用可能に
2010/07/15
ヴイエムウェアは7月14日、同社の仮想化プラットフォーム製品「VMware vSphere 4」の新版を発表した。世界同時発表で、同日提供が開始された。
新バージョン「VMware vSphere 4.1」はマイナー・バージョンアップであり、既存機能の強化や拡張が中心だ。一方で人気の高い仮想マシン移動機能「VMware vMotion」が下位バージョンでも使えるようになるなど、製品パッケージングにおける変更が目を引く。
vSphere 4.1では、まず大規模環境の運用に適した機能強化が行われた。
1クラスタ(vMotionなどが実行できる単位)に収容できる仮想マシンの数は、これまでの1200から3000に増加。vCenter Server 1台で管理できるホスト(物理サーバ)の数は300から1000に、同じく仮想マシンの数は3000から10000に増加した。仮想マシンの移動機能「VMware vMotion」は最大8つの同時移動が可能になり、さらに移動速度が最大5倍に向上したという。
また、メモリ管理の強化で仮想マシンの統合率を上げるための新機能として。メモリ圧縮が加わった。vSphereは、メモリを実際の搭載量より多く使えるようにするため、「メモリ・オーバーコミットメント」と呼ばれるいくつかの機能を備えている。その1つ「トランスペアレント・ページ・シェアリング」では、複数仮想マシン間で共通の内容を持つメモリページを、物理メモリ上で共有する。また、メモリ・バルーニングは、優先度の低い、あるいは稼働率の低い仮想マシンの使用しているメモリの内容をディスクにページアウトし、物理メモリに空きをつくって優先度の高い仮想マシンに利用させることができる。今回のメモリ圧縮は、それでもディスクへのページアウトが必要な状況が発生したときに、メモリ内容を圧縮して、ページアウトをさらに回避するというもの。これにより、統合率を15〜20%向上できるという。
仮想化環境でしばしば課題となるネットワーク/ストレージI/Oの制御機能も強化された。vSphereではこれまで、HBAやネットワークアダプタ単位で、消費帯域を制御することはできたが、ストレージI/Oについては特定LUNに対するI/Oを、仮想マシングループ単位で優先度付けできるようになった。ネットワークI/Oについては、プロトコル単位での優先度付けが可能になった。
[追記 2010/7/16]ネットワークI/OとストレージI/Oの制御は、最上位エディションのEnterprise Plusでのみ提供される。ネットワークI/O制御は、仮想化ホストからの送信に対して適用する。分散スイッチに対して、管理トラフィック、vMotion、VMware FT、iSCSI、NFSのそれぞれの消費帯域上限や相対的優先度を設定可能。これにより、用途別にリンクを分けずに、広帯域のイーサネットリンク上に各種のトラフィックを混在させることがやりやすくなる。
ストレージ関連では、vStorage API for Array Integration(VAAI)が利用できるようになった。これまでvSphereでは、ストレージ製品が持つ機能を生かしにくい点が課題となっていた。vSphere 4.1から提供されたVAAIをストレージ製品が活用することで、例えばストレージ上のデータコピーをvSphere経由でなく直接行えるようになり、サーバの処理負荷が軽減できる。また、各ストレージ製品の持つさまざまな機能を、vSphereから直接活用できるようになる。
製品パッケージングの観点では、一般的なvSphereパッケージの最下位エディションであるStandardでもvMotionを搭載した点が大きい。また、小規模向けの3物理サーバ(各サーバは最大2 CPU構成まで)に限定した製品「VMware vSphere Essentials」の上位エディションである「VMware vSphere 4.1 Essentials Plus」にもvMotionが搭載された。小規模向けの最下位エディションである「VMware vSohere 4.1 Essentials」の価格は、従来の1 CPU当たり約2万円から約1万円に下がった。
各エディションの機能詳細は、機能比較ページで知ることができる。EssentialsとEssentials Plusのそれぞれの機能については、こちらの表に含まれている。
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