データ自動階層化機能を備えたミッドレンジ製品
日本IBM、他社ストレージの仮想化にも使えるストレージ装置を発表
2010/10/08
日本IBMは10月8日、ミッドレンジのストレージ兼ストレージ仮想化装置、「IBM Storwize V7000」を発表した。米IBMは今年7月に、インラインのデータ圧縮/重複排除で知られる米Storwizeの買収を発表しているが、Storwizeの名を使ったこの製品にデータ圧縮/重複排除の機能はない。Storwizeの製品に見られたインラインデータ圧縮/重複排除製品は、Storwizeというブランド名を冠さずに、将来提供の予定という。
Storwize V7000は、ハイエンドストレージ「DS 8700」のデータ自動階層化機能「Easy Tier」、ストレージ仮想化装置の「SANボリュームコントローラ(SVC)」が備える外部ストレージの仮想化機能、そして「XIV」のグラフィカルな管理ツール、の3つを合わせた製品だと、日本IBM ストレージ製品事業 ストレージ事業部長の山崎徹氏は説明した。
Easy TierはSSDとハードディスクドライブを混在させたストレージ装置で、アクセスが集中するデータをSSDへ自動的に移動し、アクセス頻度の低いデータは自動的にハードディスクへ戻す動作を行うことで、ストレージ利用のコストパフォーマンスを高める機能。同種の機能は数社から発表されているが、Easy Tierでは最小16MBという細かい単位で管理できるのが特徴という。また、この管理単位のサイズを管理者が変更できるところも特色の1つ。大容量データに対して細かい管理単位を当てはめると速度が落ちる可能性があるため、サイズ可変の設定にしているという。データは手作業で移動することも、もちろん可能だ。一方、Storwize V7000では使用頻度を計るサンプリング時間が24時間に固定されているが、これについては使いやすいかどうかの意見が分かれるところだろう。
ストレージ仮想化機能は、SVCと同じ機能を提供できる。この機能は、IBM製かどうかを問わず、さまざまなベンダのストレージ装置の前段に立って、これらを1つのストレージプールにまとめ、そこから論理的なボリュームを切り出すことができるというものだ。SVCの機能そのままであるため、150種類以上の各種ベンダによるストレージとの接続がサポートされるという。そして直感的で分かりやすいStorwize V7000の管理ツールを使って、他社ストレージも一元管理できるようになる。接続したストレージ間でのオンラインデータ移行(バックグラウンドでのデータ移動)も可能だ。
SVCのストレージ仮想化機能との違いは、主に拡張性にある。SVCは基本的に2台をペアで使うが、最大8台までを1つのシステムとして構成できる。これにより、コントローラ部分の総スループットを上げることができる。搭載キャッシュ容量は、SVCが192GBなのに対し、Storwize V7000は16GBで、ここにも違いがある。また、SVCはストレージ仮想化に特化しているので、自らハードディスクドライブを搭載することはできない。
上に、「SVCと同じ機能を提供できる」と書いたのは、ストレージ仮想化機能がオプションだからだ。SVCでも、管理する容量に応じたライセンス料はかかるのだが、Storwize V7000の場合は台数単位でライセンス料を設定しており(詳細は非公開)、大容量のストレージを少数接続する場合に有利だという。
Storwize V7000は2Uのラックマウント型で、サーバ接続用には8Gbpsファイバチャネル×8ポート、1Gbps iSCSI×4ポートを搭載する。RAIDレベルは0/1/5/6/10に対応。2.5インチSASディスクドライブ搭載モデルと3.5インチニアラインSASディスクドライブ搭載モデルの2モデルがある(双方ともSSDを搭載可能)。3.5インチドライブ搭載モデルでは、なぜSASでなくニアラインSASのみのサポートなのかについては、「経営判断」との答えが返ってきた。基本筐(きょう)体の内蔵ドライブとして、SATAハードディスクドライブをサポートする予定もないようだ。
Storwize V7000は、基本筐体に拡張筐体を最大9台接続して、容量を増やすことができる(発売時は最大4台)。拡張筐体ではSATAドライブも使える。拡張筐体はコントローラを持つわけではないので、パフォーマンスの確保はあくまでも基本筐体に依存することになる。
Storwize V7000の最小構成価格(ハードディスクドライブなし)は607万5000円。前述のEasy Tier、シンプロビジョニング、スナップショットといった機能は標準搭載。遠隔レプリケーションと前述のストレージ仮想化機能はオプションだ。
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