運用作業を省力化するツールも提供

シトリックスの仮想デスクトップ新製品は使いやすさを追求

2010/10/25

 シトリックス・システムズ・ジャパンは10月21日、デスクトップ仮想化の新製品、「XenDesktop 5」を発表した。2010年中の提供開始を予定している。

 代表取締役社長のマイケル・キング氏によると、国内で同社の製品を使い、1000台以上の規模でデスクトップ仮想化を進めている顧客は2桁に上るという。そのなかには、ニッセイ情報テクノロジーのように、2万台規模のデスクトップクラウド環境を構築中の企業もある。また、三菱UFJインフォメーションテクノロジーはiPadでXenDesktopを使える環境を展開し始めている。

xendesktop01.jpg シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長のマイケル・キング氏

 多様な端末への対応は、シトリックスの強みの1つだ。アップルのiPhone/iPadに加え、サムスンのGalaxy S/Galaxy Tab、BlackBerry PlayBook、シスコのCius、デルのStreakなどの端末への対応が進められている。また、会社支給のPCを使うモバイルユーザー向けには仮想マシンをオフライン環境で使える「XenClient」、自分のPCを持ち込むユーザーには、業務アプリケーションのデータを暗号化する「XenVault」を発表済みだ。

 XenDesktop 5では、まずユーザーの利用環境が改善される。これまで、ユーザー/端末側ソフトウェアのCitrix Receiverと、ユーザーがアプリケーションカタログから使いたいアプリケーションを選択できるセルフサービスツールの「Dazzle」は別物だったが、DazzleのユーザーツールはReceiverに統合された。カタログ上で自分に利用許可が与えられていないアプリケーションについては、その場で利用申請を出すことも可能になる。App-VのアプリケーションやSalesforce、Dropbox、GoToMeetingなどのSaaSアプリケーションについても、カタログからユーザー自身が選択できる。利用許可が与えられていれば、Citrix Receiverのユーザー名とパスワードの自動適用により、SaaSアプリケーションにシングルサインオンができる。

xendesktop02.jpg ユーザーはCitrix Receiverから、App-VやSaaSのアプリを検索して利用する、あるいは利用を申請することができる

 管理ツールの改善も、目立った特徴だ。新ツールの「Desktop Studio」では、マスターイメージから仮想デスクトップを作成し、ユーザーに割り当てる作業を高速に実行することができる。Active Directoryユーザー/ユーザーグループをDesktop Studioから呼び出して、1ステップで割り当てられる。もう1つの新たな管理ツール「Desktop Director」は、ヘルプデスク作業を省力化する機能。ハイパーバイザからの警告メッセージを取り込むこともできる。現在の仮想デスクトップ稼働状況やパフォーマンスを確認し、例えばハイパーバイザのCPUやネットワークの負荷が高まっていることを即座に知ることができる。

xendesktop03.jpg Desktop Studioでは、そのほとんどすべての機能をPowerShellスクリプトで自動化できるようになるという

 シトリックスは国内で、マイクロソフトと過去およそ1年にわたり、デスクトップ仮想化でのマーケティング/販売協業を行ってきた。今後も10、11月に共同セミナーを実施するなど、協業を推進していく。

 マイクロソフト エンタープライズパートナー営業統括本部 ストラテジックアライアンス本部 業務執行役員 本部長 杉山昇氏は、以前2社の製品で重なる部分の棲み分けがはっきりしていなかったものが、はっきりしてきたことで協業を進めやすくなったと話した(この棲み分けは、アプリケーション・ストリーミングについてマイクロソフトのApp-Vを使うことが基本。2010年4月の記事をお読みいただきたい)。また、SystemCenterから、XenAppに加えてXenDesktopを直接管理できるような統合も進められており、2社の製品間の親和性はさらに高まっているという。

(@IT 三木泉)

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