遠隔データセンターにデータを自動移動
日立はNAS新製品で「クラウド対応」を推進
2010/10/28
日立は10月27日、クラウド対応のNAS新製品を発表した。「クラウド対応」の意味は後述するが、別拠点に置かれたストレージに、WAN経由でデータをアーカイブすることができる。
新製品「Hitachi Virtual File Platform(VFP)」は、ストレージセットモデルとゲートウェイモデルで構成される。ゲートウェイモデルはいわゆる「NASゲートウェイ」「NASヘッド」などと呼ばれるものに近い。別途調達したストレージ装置と組み合わせて使う。ただし、日立のストレージしかサポートしていない。ストレージセットモデルでは、同社のミッドレンジストレージである「Hitachi Adaptable Modular Storage 2000シリーズ」(具体的には2010、2100、2300)を組み合わせている。
![hitachi01.jpg](hitachi01.jpg)
ストレージセットモデルはCIFSあるいはNFSによるファイルサービスのほか、iSCSI、ファイバチャネルによる接続もできる。ゲートウェイモデルは、CIFS/NFSによるファイルサービスが基本(ストレージ装置からの直接接続により、ブロックストレージとしての接続にも対応可能)。日立では、この「ユニファイドストレージ」的な使い勝手をアピールする。この製品を非構造化データの格納に用いると同時に、データベースなどの構造化データの格納にも使うことで、データ管理の一元化を図れるとする。
データの集約・一元管理の観点から、新製品では拡張性に力を入れている。最大1PBの領域を単一のファイルシステムとして構成可能。性能は、従来の同社のNAS製品「Hitachi Essential NAS Platform」に比べて約2倍という。また、ストレージセットモデルでは、採用しているHitachi Adaptable Modular Storageの機能により、シン・プロビジョニングや筐(きょう)体内データ階層管理機能を提供できる。
VFPでは、仮想的にストレージプールを構成し、このなかから複数の仮想ファイルシステム(仮想ボリューム)を切り出すことができる。これにより、単一のストレージ装置でありながら、あたかも複数のブロックストレージやNASが組み込まれているように見せることができる。シン・プロビジョニングを適用することで、ストレージの未使用領域を複数の仮想ボリュームで共有し、必要に応じて各ボリュームがこの共有領域から自らの領域として利用することが可能だ。
興味を引くのは、VFPの「クラウド対応」だ。これは各拠点のVFPを、遠隔データセンターに置かれたストレージと連携させる機能。2011年2月に提供開始予定という。
この機能は、2011年2月に国内展開を開始する「Hitachi Content Platform」との組み合わせで実現する。遠隔データセンターにHitachi Content Platformを設置し、複数拠点のVFPのデータを自動的に移動することができる。この際には、VFPとHitachi Content Platformにまたがった自動階層化管理が行える。すなわち、事前に設定したポリシーに基づき、VFPに保存されたデータのうち古いものやアクセス頻度の低いデータを自動的に移動することができる。データを移動後も、各拠点のユーザーは、あたかもすべてのデータがVFP上に保存されたままになっているかのようにアクセスできる。Hitachi Content Platform側では、集約したデータに対し、データ圧縮や重複排除などの機能を適用することで、データ保管コストの低減を図れる。
VFPとHitachi Content Platformの間のファイル転送はHTTPで行う。Hitachi Content Platformはコントローラを論理的に分割するとともに接続先をボリュームに結び付ける機能により、マルチテナント対応が可能になるという。
VFPは11月1日に出荷を開始。価格はストレージセットモデルが884万3100円から。ゲートウェイモデルは552万6150円から。
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