400GbEへとさらなる高速化も模索
100GbEはリンクアグリゲーションが抱える問題の救世主になるか?
2010/11/22
ブロケード コミュニケーションズ システムズは今後、より安価な100GbE(ギガビットイーサネット)の提供に向けた取り組みを進めていくという。米国で開催した「Data Center Forum」において、米ブロケードのサービスプロバイダー製品担当バイスプレジデントのケン・チェン氏が、100G、そしてその先を見据えた開発状況を説明した。
ブロケードは9月に、コアルータ「Brocade MLXシリーズ」の最上位機種となる「MLXe」を発表している。Brocade MLXeのバックプレーン容量は15.36Tbpsで、最大32ポートの100GbEを搭載可能というスペックだ。同時に、100GbEを2ポート収容する100Gbpsイーサネットモジュールもリリースしている。
現在Brocade MLXeが対応しているのは、複数ある100GbEの仕様のうち「100GBASE-SR10」と中距離用の「100GBASE-LR4」だ。だが「現在の100GBASE-LR4のコストは、10Gを束ねたときの70〜100倍もし、あまりに高価だ」(チェン氏)。これが100GbE普及の障害になっているといえる。
「なぜ100GBASE-LR4が高いかというと、モジュールの中に、10Gbpsの波長10波を、25Gbps、4波に束ねる『ギアボックス』が含まれているからだ。これが価格を押し上げている。そこで現在、ギアボックスが不要な新しい仕様『100GBASE-LR10』を提案中だ」(チェン氏)。LR10は、LR4に比べ少なくともコストを半分に抑えることが可能という計算だ。
同時に、モジュールの小型化、低コスト化も進めていく。2014年ごろのリリースを目標にしている「CFP2」や「QSFP2」では、第1世代のモジュール「CFP」に比べホームファクターを小型化し、より高い密度で100GbEを収容したいというニーズに応えていくという。
LAGが抱える運用上の課題を解決
100GbEに対する市場からのニーズはどの程度あるのか。「米国には、すでに10GbEを40本以上束ねて使っている事業者もいる」とチェン氏は説明した。
「トラフィックの増加に加え、フローのサイズも大きくなっている。また、10GbEのリンクをアグリゲーションして使うのは効率が悪い。1本の100GbEならば管理は非常に簡素化できるし、ラージフローにも対応が容易だ」(同氏)。
実際、リンクアグリゲーション(LAG)にはいくつか運用上の問題があると、NTTコミュニケーションズでOCNのネットワーク設計を担当している友近剛史氏(ビジネスネットワークサービス事業部 IPテクノロジー部 担当課長)は説明している。「OCNではLAGの技術を使っているが、LAGにはリンクが1本に見えてオペレーションしやすいというメリットがある一方で、いくつか制限、問題もある」(同氏)。
最も大きな問題点は、束ねられたリンク間でトラフィックを均等に分散することが難しく、きちんと設計しないと、特定のリンクにトラフィックが偏ってしまうことだ。さらに、障害の検出や疎通確認など、運用面でも面倒な作業が生じていると友近氏は説明し、「やはり100GbEが欲しい」と述べた。
友近氏は、100GbE自体のLAGやEtherOAMの対応といった要件に加え、「おそらく100GbEでもすぐに足りなくなるだろう。400GbE、あるいは1TbEなど、さらなる高速化にも期待している」と要望を述べている。
チェン氏によると、現在、100GbEのさらに先を行く仕様が検討されている。基本的には25Gbpsを束ねる数を増やして高速化していくというアプローチで、10本束ねる250GbE、12本束ねる300GbE、そして16本束ねる400GbEなどの案がある。「中でもブロケードで最も有望視しているのは400GbE」(チェン氏)だが、コストなど解決すべき事柄も多く、実現までにはまだしばらく時間が掛かるだろうという。
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