ユニファイドストレージの優位性をアピール
ネットアップ、「史上最大の製品発表」の文脈
2010/11/22
ネットアップは11月18日、同社の「18年の歴史で最大の製品発表」(ネットアップ 代表取締役社長 タイ・マッコーニー氏)を行った。この発表から、ネットアップのクラウド時代に向けた戦略が見えてくる。
今回の発表は、ネットアップの製品の80%が何らかの影響を受けるものだという。同社はハイエンド、ミッドレンジ、エントリの各市場に対し、「FAS6000」「FAS3000」「FAS2000」の3シリーズを展開してきた。今回は「FAS6000」「FAS3000」の2シリーズで新製品を発表。さらにストレージOSおよび管理ソフトウェアで新たな発表を行った。
ネットアップの姿勢は、3PARやアイシロンシステムズなど、スケールアウト・アーキテクチャを備えたストレージ製品を開発するベンチャー企業の相次ぐ買収について質問された米ネットアップのクラウドCTO、ヴァル・バーコヴィッチ氏の答えに端的に示されている。3PARはスケールアウト型のブロックストレージ、アイシロンはスケールアウトNASで、それぞれは一部のスケールアウト・ニーズにしか応えることができないと同氏は訴える。一方ネットアップのストレージは1つの製品でNASとブロック双方に使える「ユニファイドストレージ」。スケールアウト機能は、数年前から特別版OSのData ONTAP GXで実現している。現在のところNASとしてのスケールアウトに限られるが、2011年夏にはブロックストレージとしてのスケールアウトも実現するという。すなわち、用途やアーキテクチャの異なる複数の製品シリーズを抱えるのではなく、単一のOSに基づくストレージ・シリーズを提供していくことにこだわり、共通OS上にスケールアウトをはじめとした各種の共通機能を追加していくことが同社の優位性だとする。
ネットアップは今回、同社ストレージOSの最新版、「Data ONTAP 8.0.1」で次の3つの機能を利用可能とした。
新機能の1つ「NetApp Unified Connect」では、統合ネットワークアダプタ(CNA)を通じ、単一の10GbpsイーサネットポートにFCoE、iSCSI、NFS、CIFSを通すことができる。ストレージで、ブロック、NAS双方にわたるこれらすべてのプロトコルを1ポートでまかなえるのは同社だけとする。これもユニファイドストレージの優位性をさらに際立たせるための新機能だ。
「NetApp Data Motion」はストレージへのアクセスを止めることなく、データをストレージ機器間で移動できる機能。ヴイエムウェアのStorage vMotionと同様の機能を、ストレージ側で実行できる。
「NetApp Data Compression」はデータ圧縮機能。ネットアップは既に一次ストレージでも利用可能な重複排除機能を提供しているが、こちらと併用してさらにストレージ容量の利用効率を高める機能として、データ圧縮を搭載した。
ハイエンドストレージのFAS6000では新たに「FAS6200」「V6200」シリーズを発表。1システムで最大1440ドライブ、2.9PBを搭載できる。従来の2倍のパフォーマンス、2倍以上のPCIeスロット数だという。ミッドレンジでは「FAS3200」「V3200」シリーズを投入した。こちらは最大1.9PBの容量で、PCIeスロット数は1.5倍になったという。なお、「V」シリーズはFASシリーズと同一のシステムに基づきながら、他社ストレージ装置の前段に置くことで、これらの装置を仮想化して使える製品群だ。
ネットアップは今回、同社ストレージシステム用にSSDを提供開始した。同社はこれまで、SLC型のフラッシュメモリをモジュールとして提供してきた(「PAM」という名称で提供開始されたが、「Flash Cashe」と改称)。完全に自動化されたデータ配置により、アクセスが集中するデータが特定しにくい環境で効果を発揮する。新たに提供するSSDはその名のとおりディスク形状であり、データベースなどの高速アクセスが必要なデータを配置して利用する使い方を想定している。
ネットアップは管理ツールの統合、拡張も実施した。NetApp OnCommandでは、制御で「System Manager」や「Operations Manager」、自動化で「Provisioning Manager」「Protection Manager」「SnapManager」「SnapDrive」、IT統合で「Virtual Storage Control」「ApplianceWatch PRO」およびBMCの管理ツールへのアダプタを提供。さらにSDKによって、ネットアップ製品をさまざまなツールから管理できるようにしている。ネットアップでは製品を制御するためのAPIが一本化されていることも、ITコンポーネントとしての利用性を高める大きな優位性だとバーコヴィッチ氏は説明した。
ネットアップ日本法人の上期売上は前年同期比29%増
ネットアップ日本法人の上半期売上は、前年同期比29%増だったという。その理由の1つは、「ネットアップが直接ユーザー企業と話す機会を増やしたことにある」とマッコーニー氏は説明する。ネットアップ製品を国内で販売するパートナーの一部はブロックストレージについては自社製品を持つため、ネットアップ製品をNASとしてしか売らないということになりがちだ。そこで、ネットアップ自体が顧客に直接リーチする機会を増やすことで、ユニファイドストレージのメリットを訴えてきたことが功を奏しているのだという。
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