タブレット端末Ciusは来年第1四半期に提供
シスコが“今後の企業の武器”、ビデオ・コラボレーション製品を大量投入
2010/11/25
シスコシステムズは11月24日、コラボレーション関連の製品群を大量に発表した。シスコではこれを「コラボレーション・ソリューション」ではなく「コラボレーション・エクスペリエンス」と表現する。局所的な課題を解決するものではなく、ユーザー企業の事業に密接にかかわるものという考えからだ。
ビデオはダイナミックな企業組織の武器
シスコが同日開催したコラボレーション製品カンファレンスで、代表執行役員社長 平井康文氏は、日本の非製造企業の生産性が極端に低い点を改めて指摘、日本企業を活性化するには組織とプロセスの変革が必要と訴えた。「これからの企業は『ダイナミックネットワーク組織』でなければならない」(平井氏)。各社員の才能を柔軟にかけ合わせることのできるフラットな組織が必要とし、シスコもこれを実践しているという。「シスコでは、社長も役割でしかない」。そしてビデオを通じたコラボレーションは、新たな組織やビジネスプロセスを支える武器であるとする。さらに、これまでの「テレビ会議システム」が場所と参加者を限定したものであったのに対し、今後のビデオ会議は場所や利用端末にかかわらず、社員や関係者が柔軟に参加できるものでなければならないという。
ビデオ製品で進む新世代端末への対応
シスコは、日本初公開の同社Androidタブレット端末「Cius」をはじめ、ビデオ・コラボレーションと仮想デスクトップに関する製品・サービスを発表した。
SaaS形態のオンデマンドビデオ会議/情報共有サービス「Cisco WebEx Meeting Center」は2010年12月にアップデートされ、発言者の映像を自動的に拡大表示する機能が追加される。映像は2011年初めにかけて、最大解像度が640×360に向上する。また、現在WebExと高精細ビデオ会議システム「Cisco TelePresence」を併用する場合には、それぞれ別個にアプリケーションを立ち上げる必要があるが、WebExからボタン1つでTelePresence接続ができるようになる。
2010年12月にはiPad用のWebExアプリケーション2.0を無償提供開始。現在のiPhone/iPad用WebExアプリケーションでは音声通話とコンテンツ/デスクトップの共有しかできないが、映像も見られるようになる。WebExはAndroidアプリも提供予定であり、シスコが2011年第1四半期に発売予定のタブレット端末Ciusでも利用可能になる(CiusはTelePresenceとも接続できる)。なお、シスコはスマートフォン用ユニファイド・コミュニケーション・ソフトウェア「Cisco Unified Mobile Communicator」のAndroid対応も進めている。特別にアプリを立ち上げておくことなく、どこにいてもスマートフォンから内線通話ができるなどの機能を提供する。
TelePresenceでは新たな端末として「Cisco TelePresence 500 32”」「Cisco TelePresence EX60」を発表した。TelePresence 500 32”は画面32インチタイプの管理職向け端末で、WebExとの連携も可能。TelePresence EX60は画面21.5インチのナレッジワーカー向けデスクトップ端末。1920×1080の解像度を備える。
Webベースのサービスとして提供されてきたWebExと、専用ビデオ会議端末に端を発したTelePresenceは、どちらも接続できる対象が広がり、重複度が増しつつある印象も受ける。平井氏はこれまでどおり、「TelePresenceは高精細、WebExは資料の共有」という機能の棲み分けだと説明する。ただし、今後はシームレスに双方がつながるような統合が進められていくようだ。
デスクトップ仮想化に本格的に切り込む
デスクトップ仮想化では、「Cisco Virtualization Experience Client 2100シリーズ「Cisco Virtualization Experience Client 2200シリーズ」を発表した。販売開始は2011年上半期を予定する。VXC 2100は「Cisco Unified IPフォン 9900/8900」の背面に装着するゼロクライアント端末で、VXC 2200はスタンドアロンのゼロクライアント端末だ。どちらもイーサネットスイッチからのPoE給電で動作する点がシスコらしい。この2端末はXenDesktop、VMware Viewのクライアント端末として使える。また、前述のビデオ・コラボレーション機能を搭載している。
シスコはデスクトップ仮想化でさらに、「Cisco Virtualization Experience Infrastructure (VXI)」システムを発表した。シスコのサーバ「Cisco Unified Computing System」をはじめ、今回発表のビデオ・コラボレーション製品群、スイッチ製品群、VPNクライアント、ユニファイド・コミュニケーション製品群、さらにXenDesktopあるいはVMware View、EMCやネットアップのストレージなどと組み合わせることができる。
これは固定的な構成のパッケージを販売するということでなく、テスト・検証済みの構成を参照資料として販売パートナーに提供し、パートナーはこれに基づいて顧客ごとに適した構成を提案するというもの。シスコ以外のベンダの製品については、販売パートナーがそれぞれ仕入れることになる。シスコが再販するわけではない。
シスコのビデオ会議製品は、タンバーグの買収によって拡充された。国内事業の統合も完了、シスコのビデオ・コラボレーション製品は、全世界で旧タンバーグの事業体に移管したという。平井氏は、タンバーグを「スペシャリストのセールスチーム」と表現し、その市場開拓活動から見習うべきことは多いと話した。同社ではタンバーグのやり方を、ビデオ製品以外にも横展開していくという。
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