HPが3PAR買収後のストレージ事業戦略を説明
「3PARはHPストレージのメインストリーム製品になる」
2010/12/07
米HPによる3PARの買収が最終決定してから2カ月。日本の3PAR事業も、12月1日付けで日本HPに移管されたという。3PARはHPのストレージ事業をどう変えるのか。日本HPが12月6日に実施した記者説明会で、米HP Storageマーケティングディレクター、クレイグ・ヌネス氏は「3PARは、HPのストレージ事業におけるメインストリーム製品になる」と話した。
ヌネス氏は3PARのマーケティング担当副社長を務めていた人物。買収に伴い、HPのストレージ事業全般を担当するマーケティングディレクターになった。ヌネス氏は@ITの質問に対し、「HPは(3PARが対象としている)ミッドレンジ、ハイエンド分野(のブロックストレージ)に弱かった」と認めた。
「HPはストレージ市場全体では世界ナンバー1で、サーバでもナンバー1だ。しかし外付けストレージではナンバー3。これはHPの経営陣にとっては受け入れられることではない」。HPはこの状況を打開するため、ストレージ分野で過去約2年にわたり、買収などの強化策を講じてきたとヌネス氏は説明した。iSCSIストレージではLeftHand Networks、ミッドレンジから超大規模をカバーするNASではIBRIXを買収。重複排除機能を備えたバックアップストレージではHPの研究所が開発した「StoreOnce D2D」を投入した。さらに「買収した後が問題だ。例えばLeftHand製品は、仮想アプライアンス形式の製品を投入するなど大きく進化した。(一方、デルが買収した)競合製品では何も起こっていない」。3PARを含め、HPが整備してきたこれらの製品群により、ストレージ市場における今後の成長分野をすべてカバーできるようになったという。
LeftHand Networks製品の流れをくむ「HP LeftHand P4000 SAN」は、小規模から中規模の企業内ストレージインフラ構築用製品。一方、3PARのInServシリーズはパブリック、プライベートのクラウドを構成する中規模から大規模なインフラを担う製品。重複する部分もあるが、「多少の重複は、かえっていいことだ」とヌネス氏はいう。
3PAR InServはスケールアウト構成が可能なブロックストレージで、いわゆるクラウドサービス事業者への納入実績も多い。「xSP事業者トップ10のうち7社が3PARを使っている。これもHPが3PARを買収した理由の1つだ」(ヌネス氏)。
InServについては、同社をめぐりHPとデルが買収合戦を繰り広げていた時期の記事などをご覧いただきたい。「スケールアウトストレージ」というと、サービス事業者専用の製品というイメージを持たれがちだが、この製品は、装置を追加することにより容量と性能を容易に増強できること以外にもいくつかの特徴を備えている。
シンプロビジョニングおよびSATAドライブの利用促進による効率性向上機能、単一のシステムを複数のセキュリティ区画に論理分割したり複数のサービスレベルを実現できるマルチテナント機能、短時間でLUNを構成でき、自動的にパフォーマンスを維持できる自律性機能などだ。これらの機能はすべて、一般企業の間で広がりつつある社内ITインフラを「サービスとしてのIT」に進化させる取り組みに、必須のものだとヌネス氏は強調した。
最近、新興ストレージベンチャーが次々に買収されている。今後、ストレージ専業ベンダが生き残っていくことは難しいのか。ヌネス氏の答えはイエスだ。「クラウド化の流れで、ストレージだけを買う人は減っている」。HPを含め、ITベンダはここぞとばかりに「統合ソリューション」を打ち出してきている。ヌネス氏は@ITに対し、統合ソリューションのメリットを強調しながらも、ストレージはストレージ、サーバはサーバで競合他社に勝てるようなものをベスト・オブ・ブリードで組み合わせて提供していくことにより、メインフレームの世界に逆戻りといった状況を避けられると答えた、
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