モバイル、PC、Webのすべてで統一的な開発環境

TitaniumとAptanaが買収により統合へ

2011/01/19

 モバイルやPC向けの統合アプリ開発フレームワーク「Titanium」を提供する米Appceleratorは1月18日、Eclipseベースの統合開発環境(IDE)の「RadRails」(Ruby on Rails向け)や「Pydev」(Python向け)を提供する米Aptanaを買収したと発表した。買収は1月7日に完了している。

titanium01.png 買収を発表するAppcelerator

 Titaniumは、RIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)と呼ばれるジャンルに属するオープンソースの開発フレームワーク。HTMLやCSS、JavaScript、Ruby、PythonといったWeb開発で使われる技術を使いながら、iPhoneやiPad、Androidといったデバイス向けのネイティブアプリケーション開発が行えるのが特徴。単一のコードベースで、PC、Webブラウザ、モバイルに各種プラットフォームに対応できる。Appceleratorは、コードの80%がクロスプラットフォームで利用可能だとしている。

fig01.png TitaniumはOSと言語のブリッジとなる層を提供する

 UIやロジックはJavaScript、Ruby、Pythonのいずれかで書くが、TitaniumはOSとのブリッジ層を提供していて、本来ネイティブアプリでないと扱えないローカルファイルシステムやネイティブのGUIシステムにアクセスできる(@ITでTitanium Mobileの解説記事を掲載している)。

 Titaniumでは、開発したアプリケーションを各プラットフォーム向けに言語ランタイム込みでパッケージ化して、アプリとして配布できる。ただ、これまではデバッガやコード補完、ドキュメント参照が統合された環境で利用できるIDEが欠けていた。AptanaのIDEは、Eclipseベースで、HTML、CSS、PHP、Ruby、Python、JavaScriptなどが扱え、Web開発者の間で注目されている。すでに600万ダウンロードを数えるという。

aptana01.png Aptana Studio 3.0

 今回の買収により、両社のチームはすでに同一オフィスで開発作業を始めているといい、2011年3月にも最初のTitanium/Aptana Studio統合製品をリリースする予定だとしている。製品名にAptanaを使うかどうかなどは、現在まだ検討中。両社がこれまでに集めた投資額は、Appceleratorが約1500万ドル(約12億5000万円)、Aptanaが約780万ドル(約6億5000万円)。社員数は37人(Appcelerator)と11人(Aptana)。Appceleratorは、エンタープライズ市場での開発需要を見込み、開発者向けの有償サポートをビジネスモデルとするようだ。

(@IT 西村賢)

情報をお寄せください:

Coding Edge フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

キャリアアップ

- PR -

注目のテーマ

ソリューションFLASH

「ITmedia マーケティング」新着記事

生成AIとAR/VRで失った個性を取り戻す――2025年のSNS大予測(Instagram編)
万能だが特徴のはっきりしない「何でも屋」と化したInstagram。2025年の進化の方向性を予...

「AIネイティブ世代」の誕生 10代のAI活用度合いは?
博報堂DYホールディングスのHuman-Centered AI Instituteは、AIに対する現状の生活者意識...

低品質コンテンツがSEOに与える影響は? 低品質になってしまう4つの原因と改善方法
検索エンジンのランキングアルゴリズムの妨げとなる低品質コンテンツは、検索順位の低下...