今後成長するビッグデータにも対応
EMCジャパン新社長、「『値段が高い』はもう卒業します」宣言
2011/01/28
EMCジャパンは1月26日、代表取締役社長の交代に伴う事業戦略説明を行った。1月1日付けで代表取締役社長に就任した山野修氏は、「EMCの製品は高価」というイメージの払拭(ふっしょく)をテーマの1つに掲げた。
EMCジャパンの社長を約3年半務め、今回代表取締役会長に就任した諸星俊男氏も、「私は(営業に)値下げをするなといったことはないが、EMCのストレージはまだ高いと言われる」と話す。
これはEMCにとって全社的な課題で、米EMCが1月18日に発表したミッドレンジ・ストレージ・シリーズ「EMC VNX」は、これまで別製品だったブロック・ストレージとNASをユニファイド・ストレージに統合することにより、コスト・パフォーマンスを向上して値ごろ感を出そうとしている。さらにエントリ・ストレージとして発表した「EMC VNXe」は明確に低価格を指向し、ボリューム・リセラーのリクルーティングにより、販売数量を稼ぐことを目的とした戦略商品だ。
VNX/VNXeの日本での展開については2月に発表するというが、山野氏は「ローエンドの拡大が私のミッション(の1つ)」と表現した。
一方で、EMCは技術に積極的に投資する企業であることも、山野氏は強調した。2010年には売り上げの12%を研究開発に投資したという。研究開発の一方で戦略的な買収を行うことで、ストレージにおいて成長が見込まれる市場における先手を打つのがEMCの戦略だ。
「デジタルユニバースの95%は非構造化データ」「2020年には世の中のすべての情報の1/3はクラウドを通る」といったEMCがIDCに委託して実施した調査の結果を引き合いに出し、山野氏は3D映画や遺伝子解析データなどの大容量データ(いわゆるビッグデータ)の増大についても説明。オブジェクトストレージのAtmosと、最近買収したアイシロン・システムズの製品により、この市場をカバーすると話した。
EMCジャパンは、同日、ハイエンドストレージ「Symmetrix VMAX」の新機能についても発表した。1月18日の米EMCによる発表を扱った記事でも紹介したが、VMAXでは自動データ階層化機能「FAST」を進化させた「FAST VP」により、仮想ストレージプールを構成したうえで、8MBの単位で、データを利用頻度などに基づき最適な記録媒体に自動配置することが可能になった。また、「VMAX Data@Rest Encryption」では、RSAの暗号化技術を用い、ストレージ上のデータ暗号化をパフォーマンス低下なしに行えるという。FAST VPとの併用も可能だ。ストレージ間のデータ移行をパフォーマンス低下なしに行える「Federated Live Migration」は、VMAXの機能として無償で提供するという。
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