ストレージ、仮想化の異機種混在にメリット

データコア、ストレージ仮想化ソフトを統合・強化

2011/02/01

 データコア・ソフトウェアは2月1日、同社のストレージ仮想化ソフトウェアの新バージョン、「SANsymphony-V」の提供開始を発表した。

 データコアは、同社のストレージ仮想化ソフトウェアをこれまで、「SANsymphony」とその廉価版の「SANmelody」の2製品ラインとして提供してきた。これを今回、SANsymphony-Vという単一の製品ラインに統一した。

 SANsymphony-VはWindows Server上で動作するソフトウェア。一般的なIAサーバにインストールし、これを実質的に各種ストレージ装置の統合ストレージコントローラとして機能させることができる。すなわちこのIAサーバは、さまざまなベンダのファイバチャネルあるいはiSCSIストレージを、あたかも単一のストレージ装置であるかのようにまとめ上げることができる。また、同期ミラーリングや遠隔レプリケーションなどの機能を搭載しており、こうした機能をストレージの機種に関係なく適用できることがメリットとなっている。

datacore01.jpg SANsymphony-Vの基本的な構成

 物理サーバやサーバ仮想化環境からは、汎用ストレージとして見えるため、VMware、Hyper-V、XenServerなど幅広い環境に対応できるという。

例えば、この新バージョンSANsymphony-Vを採用するサービス事業者第1号のネットムーブは、SANsymphonyによってSASドライブ/ストレージ群、SATAドライブ/ストレージ群それぞれを別個の仮想ディスクプールとして設定し、これをVMwareおよびXenServerの両環境から利用できる構成にしているという。

 SANsymphony-Vでは、複数のストレージから単一の仮想ディスクプール(仮想ボリューム)を構成でき、さらにこのプールを複数設定することができる。このため、高速なアクセスが要求される場合はSASドライブで構成されたストレージ群を1つのプールとして割り当て、高速性よりも容量が求められるアプリケーション群に対しては、SATAドライブで構成されたストレージ群を1プールとしてこれを割り当てるといった構成にすることで、サービスレベルの差別化を図ることが可能だ。また、SANsymphony-Vサーバを2ノード利用して、この間での負荷分散を行うこともできる。ストレージのコントローラが2基に増えたのと同じ効果がある(一部エディションでは、今年第3四半期に4基あるいはそれ以上の負荷分散が可能になる予定)。

datacore02.jpg ストレージのハードウェア仕様ごとに仮想ディスクプールを構成し、複数のサービスレベルを提供できる

 スナップショット、シン・プロビジョニング、SANsymphony-Vサーバ上での最大1TBのキャッシュ機能、同期ミラーリング、非同期遠隔レプリケーション(複製)機能などは標準で搭載。一部エディションではオプションだが、CDPやフェイルバック支援機能も用意されている。

 これらのほとんどは従来バージョンより搭載されていたものだ。新バージョンでは管理インターフェイスを大幅に改善。また、遠隔レプリケーションはFTP、SMBから独自プロトコルに切り替えたことで、5〜20倍の高速化を実現したという。CDPは従来、完全にオプションだったが、今回、上位エディションには標準機能として取り込んでいる。シン・プロビジョニングでは、特定の仮想ディスクのために、物理ストレージ容量を「予約」しておくことができるようになった。

datacore03.jpg 複数のエディションで提供。ここには示されていないが、同一エディションにとどまったまま、容量だけを追加するオプションライセンスも今回新たに提供開始された

 データコアは日本法人を2000年に設立。当初はサーバベンダに対するOEM供給を中心としていたが、サーバ仮想化/クラウドのトレンドに対応し、最近ではチャネルパートナーの拡充を進めている。今年第1四半期中に、ディストリビュータは3社、販売パートナーは18社に増えるという。

(@IT 三木泉)

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