プライベート・クラウド化への壁を越えるには
ヴイエムウェアの2011年、既存顧客支援をどう進めるか
2011/02/01
ヴイエムウェアは1月27日、2011年の事業活動について説明した。このなかで日本法人 代表取締役社長の三木泰雄氏は3つの柱の1つとして、「既存顧客の支援」を挙げた(そのほかは「新規・SMB支援」と「新しいソリューションの拡大」)。
既存顧客の支援とは何か。
VMware vSphereを使ってサーバ仮想化を進めるユーザー企業は、国内でも急速に増えている。だが「私の感覚では、サーバ仮想化率はグローバルが50%だとしたら日本は30%」。サーバ仮想化を導入していたとしても、その導入はまだ部分的にとどまっている企業が多く、仮想化の対象となっていないサーバが多数あると三木氏は話す。また、サーバのリースアップなどのタイミングで、プロジェクト単位でサーバ仮想化環境への移行が進んだ結果、仮想化の島が多数できてしまっているユーザー企業も多いという。
一方で三木氏は、大規模企業を中心に「Enterprise License Agreement(ELA)が相当増えている」とも報告している。ELAとは企業向けの包括ライセンスであり、これが増えているということは、全社的な採用が増えていることになる。
今年はこれまでよりもさらに、ユーザー企業が全社的なプライベート・クラウド環境へ移行することを後押したいというのが、「既存顧客の支援」の意味だ。
そのための施策は、コンサルティング活動の強化とユーザー会の発足だという。
コンサルティングではサーバ仮想化環境のヘルスチェックを行い、ユーザー企業の仮想化利用の状況を分析する。これを踏まえてCIOレベルと話し合い、全社的な観点で推進するという。
もう1つのユーザー会の発足は、純粋に既存顧客からの要望が強い活動だが、プライベート・クラウド化の推進という点でも有益と、マーケティング本部長の篠原克志氏は話す。「ヴイエムウェアがいくら言っても、プロモーションにしか聞こえないことがあるが、ユーザー企業が『こういう風にやった』というサクセスストーリーはすごく有効」とする。
そうはいっても、分かっているけれど、社内政治的な理由で、全社的な導入が進まないというケースは多いのではないか。これに対して、三木氏はサーバ仮想化普及の初期と似ていると話した。
「数年前、サーバ仮想化を始めた頃は、パフォーマンスが落ちるのではないかとか、vMotionは本当にちゃんと動くのかといったことばかり言われた。その頃でも(ユーザー企業の)エンジニアは、自分でいじって、動くことは分かっていた。しかし、周りの企業がみな使い始めたことで、ちゃんと動いているということを(多くの人が)分かってきた(ため、普及が進んだ)。日本はそういう慎重なところがある」。
よりプライベート・クラウドに近いところでは、動的に仮想マシンを物理サーバ間で移動することにより、配置を最適化するDRS(Distributed Resource Scheduler)機能を引き合いに出して三木氏は説明する。
「DRSは日本での普及率が低い。多くの企業では、機能は十分検証して動くことは分かっているが、運用部門が気持ち悪いという。だからまだ使っていない。しかし、これなしではできないという大企業もある。ユーザー会などで情報共有をすれば、本当にうまく使っている企業の情報がほかの企業に広がる」という。
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