データベース・ライセンス料を抑える新メニューも

TIS、業務システムでのIaaS活用を助ける新機能を発表

2011/02/16

 TISは2月15日、同社が提供する企業向けIaaS/PaaSサービス「TIS Enterprise Ondemand Service」で、業務システム運用にかかるコストを低減する2つの新機能を発表した。2つとは、カスタムテンプレート保存機能と、データベース管理システム(DBMS)などのライセンスコストを低減する新メニュー「商用ミドルウェア対応モデル(Limitedモデル)」だ。

 カスタムテンプレートは、ユーザー側で設定やアプリケーションのインストールを行った仮想マシンを、テンプレートとして保存しておける新機能。ユーザー企業の運用担当者は、Enterprise Ondemand Serviceのポータルサイトで、仮想マシンをテンプレート化して保存したり、保存したテンプレートを使った仮想マシンをデプロイすることができる。新たな仮想マシンは、保存したテンプレートを複製して作成するため、同一構成の仮想マシンを短時間で用意できるメリットがある。

tis01.jpg サービスポータルを通じ、カスタムテンプレートの保存やこれを使った仮想マシンのデプロイができる

 この機能がコスト削減につながるのは、将来の保守や追加的な開発作業のために用いるマスター・システム構成を常に稼働していると、仮想マシン利用料金が発生するが、この機能を使って保存しておけば、ストレージ利用料金だけで済むからだ。TISでは、この機能が「テスト環境構築のために、各仮想マシンの設定を統一したいが、作業工数をかけたくない」 「Web アプリケーションへの急なアクセス増加に備えて、システムのスケールアウトを短時間で行いたい」「アプリケーションの開発環境について、開発終了後はその環境が一定期間不要となるが、再び同一環境を利用する可能性があるため、設定内容を保存しておきたい」といったケースでメリットをもたらすとしている。

 もう1つの発表はIaaSの新メニューだ。TIS Enterprise Ondemand ServiceをはじめとするIaaSサービスでは、VMware vSphereやXen、KVM、XenServerなどのハイパーバイザが使われる。こうした環境上でデータベース管理システムなどのミドルウェアを動かす場合、ライセンス料が増加するのを防ぐのが新メニューの狙いだ。

 例えばOracle Databaseのプロセッサ単位ライセンスでは、「仮想OSの数などに関わらず、Oracle Databaseが導入されるサーバ全体の物理的なプロセッサ数のライセンスが対象としてカウント」される。すなわち、IaaSサービス事業者は自社のコストメリットを出すために、1台の物理サーバ上にできるだけ多数のコアを備えたCPUを、できるだけ多数搭載したくなる。あるユーザー企業がこのIaaS上で仮想マシンとしてOracle Databaseを動かし、その仮想マシンが1物理コアしか使わなかったとしても、物理サーバが12コア搭載していれば、その分だけ(実際にはマルチコアの係数を掛けるので12倍にはならない)のライセンス料が必要となる。そこで今回発表のLimitedモデルは、CPU数/コア数を抑えた物理サーバを利用するものとなっている。

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(@IT 三木泉)

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